著者 : 夢枕獏
丑の刻、貴船神社に夜毎現われる白装束の女が鬼となって、自分を捨てた男を取り殺そうとする。そんな男の窮地を救うため、安倍晴明と源博雅が目にしたものは!?女の悲しい性を描いた「鉄輪」他、全七篇。百鬼夜行の平安時代。魍魎たちに立ち向かう若き晴明と博雅の胸のすく活躍、魅惑の伝奇ロマンシリーズ第三弾。
羽生丈二。単独登頂家。死なせたパートナーへの罪障感に悩む男。伝説の男が前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む。なぜ人は山に登るのか? 永遠の問に応える畢生の大作!(解説・北上次郎)
「童子のあやかしが出没し、悪さを働いているようだな、博雅」「よし。では、ゆくか晴明よ」。われらが都を魔物から守れ。百鬼が群れる平安京の闇の果て、幻術、風水術、占星術を駆使し、難敵に立ち向う希代の陰陽師・安倍晴明、笛の名手・源博雅。名コンビの活躍、すがすがしくて、いと、おかし。
あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する…ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の宇宙観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。
人は、幸福せになれるのですか。野に咲く花は幸福せであろうか。-螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしなく高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる…進化とは。宇宙とは。人間とは。究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。
黄金の勃起仏と一枚の地図ー。アフリカ奥地の一大黄金郷に通じる二つの“鍵”。しかし、黄金仏を持ち帰った探険隊のメンバーは、アフリカの呪術師の怪異な術で次々と消されてしまう。事件に巻きこまれた地虫平八郎は、必殺の拳法で呪術師に立ち向かう。地虫は渋谷区最強から史上最強への道を歩み始める。
五人の日本人が、アフリカ奥地ナラザニアを探検して莫大な秘密を密かに持ち帰った。しかし、彼らはブードゥーの呪術で次々に殺されていった。所持していた黄金仏と一枚の地図は果して何を意味するのか?呪術師と死闘を繰り返し事件の核心に肉迫した地虫平八郎に魔手が迫る。伝奇スーパーアクション第二弾。
欲望と人混みの街・新宿ー。アフリカ人の戦士が現れ、いきなり槍で中年男を刺し殺す。通りかかった都内最強の男・地虫平八郎の腕の中で息絶えた男は奇妙な黄金の勃起仏と地図を持っていた。さらに地虫の前にブードゥーの呪術師が立ちふさがる。地虫は拳法で銀髪の呪術師を迎え撃つ。黄金宮シリーズ第1弾。
蛇魔像を追って、アゴン一行はヒマラヤ山中にいた。だが、逃走するアガシャたちの策略と罠は熾烈を極めた。幻力使い夢龍が引き起こした雪崩によって、シッダールタ(後の仏陀)はザラ国跳人兵士の手に落ち、難を逃れたアゴンたちには、再び夢龍の待ち伏せが…。一方、アガシャによって35年ぶりに蛇魔像が戻ったザラ国は、混乱と緊張の度合を深めていた。国の支配権を握る三巴の暗闘が続いていたのである。果たして35年前に、蛇魔像を巡り何があったのか?話題騒然の〈巻の壱〉に続いて放つ人気巨編の第2弾!
平安時代。闇が闇として残り、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に住んでいた。安倍清明は従四位下、大内裏の陰陽寮に属する陰陽師。死霊や生霊、鬼などの妖しのもの相手に、親友の源博雅と力を合わせこの世ならぬ不可思議な難事件にいどみ、あざやかに解決する。
古代インド。神々が住むという雪山へ旅立った若き王子・アーモンと従者・ヴァシタは、雨宿りに立寄った石小屋で、士族とおぼしき四人組の男たちに出会う。突然、何者かに追われて駆けこんできた男から、連中はラ・ホーの情報を得ようとやっきになっていた。永遠の腐老樹を手にするため、その国に潜りこもうと企んでいるようなのだ。そこから無事に戻った者は、かつていなかった。長篇怪奇冒険譚。
一本多い手の話、手に映ったサムライの顔の話、何度も雪に埋めた死体の話、手で歩いてきた女の子の話、逆さ悟空、暗い優しいあな、せつなくん、異形戦士、輪廻譚、ヒトニタケ、ふりんのみち…等々、奇才夢枕獏の最初にして最後の怪異に満ちた掌編小説集。読み始めたら、一人でトイレに行かれなくなる。
一体の金の勃起仏と一枚の地図-それは、アフリカの奥地の一大黄金郷に通じる“鍵”だった!しかし、黄金仏を持ち帰った探検隊のメンバーは、追いかけて来た呪術師の怪異な術で次々と消されていく…。事件に巻きこまれた街の男・地虫平八郎が得意の拳法と度胸で巨大な謎と呪者に立ち向かう現代伝奇長編。
これは、進化についての物語である。同時に、宇宙についての物語である。さらに、物語自体が、遺伝子の二重螺旋の構造を持った物語である。本自体の構造も、二重になっている。
「世の中には、わざわざ飢えた魔の顎の中へ首を突っ込みたがる輩が、本当にいるのでございますよ。我が殿アーモンさまも、そのおひとりでございましてな。かような所業をなさろうというのも、全ては退屈から始まったこと。人語を解する狼の話にいたく興味をもたれ、シヴァ神が舞い降りるという聖なるムリカンダ山へ出掛けたのでございます。旅に出る度、恐ろしいことばかり。そのうえ、この山には月の種族が棲むと、皆が怯えるのでございます…」古代インドを舞台に、鬼才が紡ぎだす、美しくも怪奇な物語の数々。
「超絶の美形で、超A級の精神ダイバー。俺が信用するのは、死体とやらせてくれた女と金だけ」と日頃から豪語する毒島獣太は、ある日、突然不能に陥った。美人女子大生とベッド・インの最中にである。そしてその直後、切断された女の手首が送り付けられ、さらにわけも判らぬまま異様な殺気を放つ男に襲われた。“突然の不能”“女の手首”“襲撃”これら三つの出来事は、いったい何を意味するのか?やがて一連の事件は、二年前、宗教団体黒蓮会の教祖千々岩三風にサイコダイブし、“ある風景”を、毒島が見たことが原因らしいとわかった。眠れる凶人三風の秘密とは?彼を慕う美女八人の思惑とは?事件は巨大な暗黒の顎を開けつつあった。人気絶頂の著者が、鮮烈の人物・毒島獣太と陰陽師ひるこを得た描く精神ダイバー・シリーズの第十弾。