著者 : 大沢晶
身代わりの花嫁をさらったのは、 成りすましの花婿だった。 ニコラのもとに、頬を涙で濡らした友人が駆け込んできた。 彼女には結婚を約束した恋人がいるのに、彼女の後見人である 富豪ルイースから、無理やり花嫁になるよう迫られているという。 なんて傲慢な人なの? 酷すぎるわ! ニコラは友人を救うため一計を案じた。迎えに来たルイースの車に 友人の身代わりとして乗りこみ、隙を見て逃げ出そうというのだ。 ところが花嫁を迎えに来たのは、彼のいとこのラモンだった。 ハンサムで優しいラモンに、ニコラの胸は高鳴るが、 じつは彼こそがルイースで、花嫁が偽者と気づいた彼は怒り、 ニコラに強引に結婚を承諾させると、彼の“蝶の館”へ連れ去った。 ハーレクイン・ロマンス黎明期の、クラシックな香りが漂うロマンスをお贈りします。サラ・クレイヴンの多彩な魅力が詰まった、ミステリアスな群像劇は読み応えも十分です! タイトルにもなっている、ヒーローの屋敷である“蝶の館”の由来も明らかに……。
不躾で強引でハンサムな来訪者── 二度と会いたくなかったはずなのに。 日曜日の朝、スザンナは玄関ブザーの音に叩き起こされた。 ドアを開けると、見知らぬ紳士が憤然として睨みつけていた。 彼はニール・アードリーだと名乗ると、ずかずかと家に入り込み、 いきなり部屋中を捜し回り始めた。いったいなんの騒ぎなの? 彼の17歳の妹が、スザンナの弟と駆け落ちしたと彼は主張し、 あげく弟がアードリー家の財産狙いだろうと断罪して、妹を返せと スザンナに詰め寄った。仰天した彼女は弟のもとへ向かい、 一緒にいたまだ幼さの残る少女にも事情を聞こうとするが、 ニールは強引に妹を連れ去ってしまう。なんて傲慢な人なの! 胸のざわめきに駆り立てられ、スザンナは彼の家を訪ねるが……。 ハーレクイン・ロマンス黎明期を支えた人気作家、シャーロット・ラムの古き良き名作をお届けします。まったく対照的な、激情型のヒーローと冷静沈着なヒロイン。二人が最悪の出会いを経て、しだいに惹かれ合っていく様子が情感豊かに描かれます。
手術室専属看護師長のアミリアは27歳。やりがいのある仕事と良い仲間に恵まれ、充実した毎日を送ってはいるものの、唯一、婚約者のことで気を揉んでいた。昇進と倹約には熱心だが、結婚はおろか、そもそもアミリア本人に無関心すぎるのだ。釣り好きの父に誘われた北欧への3人旅も、結局彼は父娘を残し、仕事を理由に先に帰国してしまった。もう諦めるしかないの?そんなとき旅先で出会ったのが、ハンサムな医師ギデオンだった。父と同じ釣り好きで話は弾み、気遣いのできる穏やかな彼に、アミリアは急速に惹かれていく。でも…私には婚約者がいるわ。お見通しだと言わんばかりに彼が呟いた。「僕と結婚すればいい」
父を救うための結婚で、 幼い花嫁は初めて愛を知った。 レイシーが12歳のとき、最愛の父が再婚した。 金目当ての継母にとって彼女は邪魔者でしかなかったらしく、 ほどなくしてレイシーは修道院の音楽学校へ預けられた。 だが卒業目前になって事態が一変する。父が病に倒れると同時に 事業の経営も悪化。継母から助けてほしいと泣きつかれたのだ。 海運王トロイを満足させ、資金を引き出せれば父は助かるのね? レイシーにしかできないという継母の口車に乗せられ、 妖艶なドレスで飾り立てられた彼女はトロイに身を投げだすが、 荒々しく唇を奪った彼から思いがけない言葉をかけられる。 一夜だけの相手は必要ない。結婚してほしい、と。 邪悪な継母によって修道院へ送りこまれた無垢なヒロインが、ギリシア大富豪に見いだされ、真の愛に目覚めるシンデレラ・ロマンスです。最初は傲慢に見えたヒーローが、ヒロインにどんどん惹かれていき、気づけばメロメロに……。愛らしいヒロインに要注目!
教師のジェマは校長に退職を迫られ、落ち込んでいた。財政難ゆえのリストラで、実家が裕福な彼女に白羽の矢が立ったのだ。教師の仕事はジェマにとって生きがいだったし、古い価値観の両親とは折り合いが悪く、実家に頼りたくなかった。そんななか兄の結婚式で帰郷したジェマは、思わぬ人物と再会する。ルーク・オウローク。十代半ばで出逢い、心の友となった年上の男性。若気の至りで「キスのしかたを教えて」と彼にお願いし、些細なことから口論になって、疎遠になってしまったけれど…。あれから10年。美しく成長したジェマと、冷酷無比な大物実業家ルーク。痛いほど胸を高鳴らせるジェマに、ルークから思わぬ申し出がーこれから2カ月間、僕のアシスタントとして働かないか、と。
パーティの間じゅう、ナターシャは部屋の隅で微笑んでいた。今日、突然フィアンセから婚約解消を言い渡された彼女には、悲しみにくれる心の置き場がわからないのだ。そんなナターシャを、熱を孕む瞳で見つめるひとりの男がいた。敏腕経営者でプレイボーイと名高い、ジョー・ファラルだ。わけもわからずナターシャが、震えて吐息をのむと、ジョーは彼女の手を優しく取り、そっと外に連れだしーいますぐ消えてなくなりたいナターシャは身をゆだねたのだ。一夜の夢に。その代償に、妊娠してしまうとは思いもせずに。
サマーは凍りついた。あれはチェイス・ロリマーではないか。二人の出会いは、5年前の夏の日までさかのぼる。恋人の浮気現場を目撃し、心が傷つけられたサマーに、チェイスは大人の魅力を漂わせ、近づいてきたのだ。若く未熟なサマーはわけもわからず、彼の掌中で弄ばれーひどい男性不信に陥った彼女は、そのせいで未だ純潔だった。望まぬ再会を果たしたサマーを見つめ、彼は冷笑して告げた。「僕と結婚するんだ。さもなければ例の写真を…」なぜいまごろになって?思い出したくもない古傷がまた疼く。
レイシーが12歳のとき、最愛の父が再婚した。ファッション雑誌から抜けだしたような美女ミシェルが、莫大な富と地位を目当てに父の後妻に収まったことは明白で、彼女はレイシーを厄介払いとばかりに修道院へ送り込んだ。卒業を目前にしたある日、思いがけずミシェルが迎えに来る。父の容態とともに事業の経営が悪化し、破産を免れるには、レイシーに有力者のもてなしをさせて出資を募るしかないという。だがギリシアの石油王といわれるトロイ・アンドレアキスは、妖艶なドレスで飾り立てられた、まだ少女のようなレイシーを見て、一夜の接待などではなく、妻になることを要求したのだった。
ブルックリンのユダヤ人コミュニティに秘蔵されてきた一つの財宝が紛失した。「見者の石」と呼ばれる72カラットの巨大なダイヤモンド。元NY市警刑事のドヴ・テイラーはその石の探索を心ならずも引き受ける羽目になった。アルコール依存症と苦闘しながら調査を進めるうち、ドヴは19世紀初頭の東欧に端を発する凄惨な抗争の陰謀の渦に巻き込まれていく。