著者 : 天羽恵
大藪春彦新人賞受賞作家が綴る、 心揺さぶる感涙の時代小説。 天涯孤独の少女が本当の愛に触れたとき、 ひとり心に誓ったのはーー。 命を狙われ、西国から遠く江戸まで逃れてきた少女のおりんは、 錺職人を目指しているお園の住む長屋で暮らし始める。 根っからの世話焼きで、おりんのことを家族のように大切にしてくれるお園。 束の間の幸せに浸るおりんだが、何者かがお園に矢を放ったことでその暮らしは一変してしまう。 もう二度と、自分のせいで人が死ぬところを見たくない。 今度こそ大切な人を守ると心に決めたおりんは、 長屋の隣人である武士の佐伯とともにお園の周囲に目を光らせる。 西国から追っ手が迫っていることも知らずにーー。 【著者コメント】 歳を重ねると、ふとしたことで、「幸せな人生とは何だろう」と考えてしまいます。 人それぞれに、幸せの形は違うでしょう。 おりんの幸せは、お園を守り抜くこと。 「大切な人がいれば、それだけで幸せなことなのよ」 そう語ってくれたお里の教えを胸に、おりんはひたむきに己の道を歩みます。 定めを受け入れ、素直にたくましく生きるおりん。 その姿が正しいかどうかは、誰にもわかりません。 ただ、彼女の生き様に心を重ね、どこか懐かしい人情に触れていただければ、作者としてこれ以上の喜びはありません。
第6回大藪春彦新人賞を受賞した天羽恵、凄烈なるデビューへ! 御役目は必殺!? 刺客となった少女と人斬れぬ御供の武士。 死への旅路の果てにあったのは……。 仇討ちに謀略。なんと贅沢なエンターテインメントだろう。 ーー今野敏 自らの生を賭して足掻くことは、かくも切なく美しい。 ーー澤田瞳子 「無念を晴らす為やったら、鬼にでも夜叉にでも、喜んでなったる」 道場剣一筋の真木誠二郎は、裏目付の佐野に見込まれてある御役目を言い渡される。 尊王攘夷派の黒幕を誅殺すべく、江戸から京まで刺客の供をせよというのだ。 鬼のような刺客と聞いて生来の臆病者である誠二郎は怯えるが、現れたのは年端もいかない少女・美津だったーー。 時代小説に新風を起こす業火の仇討ち旅が始まる!