著者 : 太田治子
心映えの記心映えの記
母との軋轢や葛藤を赤裸々につづった名篇 「私は心のどこかで母の死を願っていたところがあったように思われてきて、その罪の意識におののいた。……心映えの悪い娘として母をくるしませたことも、正直に書くことによって、母の許しを乞いたいと思った。」(あとがきより) 小説『斜陽』のモデルであり、太宰治の愛人でもあった母・太田静子。女手ひとつで〈私〉を育ててくれた母に対して、〈私〉は「心映えのいい子」ではなかった……。 「斜陽の子」として生まれた著者が、その現実に繰り返し突き当り、焦りや怒りをそのまま母にぶつけてしまう。おそらく、普通の親子関係よりも数倍濃密な日々を、赤裸々に綴った一冊。 家族とは、愛とは何かを問う、直木賞にノミネートされた名篇。
青い絵葉書青い絵葉書
あこがれ、淡い恋、繊細な女性心理のひだを、こまやかに描いた、やさしい12の小品。10年前に飛行機事故に遭った夫の遺品の中から見知らぬ女性の手紙を見つけ、その足跡をヴェネツィアに訪ねる表題作のほか、「アムステルダムの花市場」「メルヘン街道の少年」「ふたりの紫陽花」「ロダンの庭」「心の中の青い湖」など。
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