著者 : 姉小路祐
定年を迎えてもまだまだやれる。安治川信繁は大阪府警の雇用延長警察官として勤務を続けることとなった。給料激減身分曖昧、昇級降級無関係。なれど上司の意向に逆らっても、処分や意趣返しの異動などもほぼない。思い切って働ける、そう意気込んで配属された先は、生活安全部消息対応室。ざっくり言えば、行方不明人捜査官。それがいきなり難事件。培った人脈と勘で謎に斬りこむが…。
ベテラン刑事の誤認逮捕問題を調査中の特任監察官・戻橋京一郎は、自殺した容疑者が先端技術研究で有名な博士と、繋がりをもっていたことに不審を抱く。産業スパイの影に怯える警察上層部と“シダレザクラ”と呼ばれる極秘情報の存在。刑事生命を賭けて戻橋が挑む、「監察の監察」解体の危機!
正義派弁護士・朝日岳之助のもとを、房野麻紀子という女子大生が訪れた。母親である千枝の弁護依頼のためだ。千枝は、元愛人の男を殺したと自首したが、法廷で自供を覆し、無罪を主張。だがその公判で、傍聴席から犯人だと名乗り出たのは娘の麻紀子であった。その後の法廷で次々と覆る“真実”。母娘の目的は何か。朝日は真犯人をつかめるのか!?
都民の些細な悩みにも応える「警視庁都民相談室」。女子大生・千沙が持ち込んできたのは、怪しい就活セミナー塾への疑惑だった。裏口就職を斡旋していると噂されるその団体へ、両親が千沙の就職のために多額の金をつぎ込もうとしているらしい。元劇団俳優で新米警察官の七曲風馬は、アルバイトスタッフとしてセミナー塾へ潜入するも、なかなか組織の実態をつかめない。そんななか、塾の代表・伊賀が行方不明になってしまうー。
「おもろいうえに、儲けに繋がるアルバイトです」。大阪の自転車工場主・安川浩一に囁かれた甘い言葉は、強ノ原たち暴力団が仕組んだ罠だった!金、会社、家族…すべてを失う安川の味方は、弁護士資格を持たない男・大淀鉄平だけだ。鉄平と強ノ原の、法の盲点を衝く頭脳戦…そして殺人が!?逆転また逆転。現代的な犯罪を描く、著者会心の傑作長編。
クレジットカード偽造、麻薬取引、密入国手引きなど、活動を拡げるアジアマフィアを摘発する端緒を、若手刑事川喜多良一がつかんだ。“春団治刑事長”岩切鍛治を尊敬する彼は、社会的影響の重大さを怖れる府警上層部をよそに単独捜査を開始した。職務遂行と在職死。警察小説最大のテーマに挑む本格推理長編。
春団治刑事長こと岩切鍛治は、組織や規律だけを重んじる警察の体質に刃向かう大阪府警の一匹狼だ。彼を慕う若手刑事が市内で屋台を撤去しようとして暴力警官として告発された。その直後、告発した男が不可解な死を遂げる。事件にきな臭さを感じた岩切は単独捜査を開始!「刑事長」シリーズ興奮の第三弾。
春団治と仇名され通称“ダンさん”。大阪府警御堂筋署の岩切鍛治は、上司にも平気で噛みつくベテラン刑事だ。市内で起きた婦女暴行殺人の決着に不審を覚えた彼は、独り地を這うような捜査を開始する。事件の背後に蠢く巨大な陰謀とは。悪に挑む下積み捜査員の執念と無私の活躍を描く正統派警察小説の白眉。
パール生命保険「査定課継続調査室」は犯罪がらみのケースの調査を担当する、室員3人の貧乏所帯。結婚の夢破れて古巣の会社へ復帰した平木寿恵(29歳)の配属先だ。彼女の初仕事は、難解な保険金殺人の調査だった。元刑事の逆巻活彦とコンビを組んで、事件現場の木更津へ乗り込んだが…社会派期待の新鋭が現代社会の病巣に迫る長編ミステリー。