著者 : 宇丹貴代実
ケリーは失意を胸に、ギリシアから祖国アメリカに戻った。2年前、大富豪のレアンドロスに嫁いだ日から、いつか別れることになるのはわかっていた。彼の心はずっと、別の女性のものだったのだから…。赤ちゃんができれば変わるかもしれないと思っていたが、ケリーの体に問題があるのか、なかなか授からない。私は彼に愛されることも、ふさわしい妻になることもできないのね…。ついに離婚の申し立てをしたケリーに、予想外の展開が訪れる。彼女のお腹には、レアンドロスとの間にできた双子が宿っていたのだ。喜びに打ち震えながらも、脳裏には夫が愛する女性のことが浮かび…。
大富豪のジェイクと出会って恋に落ちたエイヴリー。だが、実業家の彼はニューヨークでも有数の億万長者で、3週間の逢瀬で身分の違いを痛感し、自ら終止符を打ったのだった。半年後、エイヴリーは偶然ジェイクと再会してしまう。目立ち始めたおなかはすぐに気づかれ、僕の子かときいてくる。変わらずセクシーな彼は、その切れる頭で戦略を練っているみたい。でも私の子が、愛も温もりもないお金持ち家庭で育つなんていや。迷惑をかけるつもりはありません、と告げるエイヴリーに、いらいらした様子でジェイクは言った。「いくらだ?」やっぱり思ったとおりね、子どもまでお金で買えると思うなんて!
ゾーイは休暇で訪れた南の島で予期せぬ人と再会を果たした。高校の同級生で、今では世界に知られる億万長者ミッチ・ベイリー。当時、事故で両親を亡くしたゾーイは厳格な父方の祖母に引きとられ、転校した高校で暗い学生生活を送っていたとき、ただひとり優しくしてくれたのがミッチだった。にわかに初恋がよみがえり、求められるまま一夜をともにした。けれどもゾーイはわかっていたーミッチはもはや遠い世界の人。彼との結婚なんて、ましてや温かい家庭なんて望めるはずもない。翌朝、彼が寝ているうちにその場を去ったゾーイは思いもしなかった。自分のおなかに新しい命が宿っているとは…。
社長秘書キットの夢は、愛し愛される夫と結婚し子供を授かること。そんな彼女はボスのアレックスに密かに恋をしていたが、仕事が成功し祝杯をあげた夜、ついに念願叶って彼と一線を越えた。翌朝、幸せな気分で出社すると、さっそく社長室に呼ばれ、甘いひとときの続きを予感して胸をときめかせた。ところが、彼女を待っていたのは、アレックスの思いもよらない言葉だった。「ゆうべのことは後悔している。結婚も赤ん坊もごめんだからね」ああ、こんな冷たい人に恋してしまったなんて、なんて馬鹿なの…。3カ月後、キットは何も告げず会社を去ったー彼の子を身に宿して。HQイマージュに大型新人が登場!オーストラリアで“ロマンス界のアカデミー賞”と称されるRUBY賞のほか、読者や書評家が選ぶ賞にノミネートされたM・ダグラスの日本デビュー作。冷血社長と愛情深い秘書が主人公の、シークレットベビー物語。