著者 : 宇野信哉
両国広小路の芝居小屋で、席亭と座長が殺される。一緒にいた座長の娘は一命を取り留めるが、記憶を失ってしまう。超大富豪「萬店屋」の主でもある、新内流しの弁天太夫・鉄五郎は、自分の不用意な一言で無実の罪を着せられた浪人が磔にされると聞き、下手人探しに乗り出す。鉄五郎は刑場に向かう途路に咎人奪取を企て、さらに真犯人暴露の意趣返しの大芝居を打つ!
武士を捨て料理人となった磯貝徳右衛門は、神田横山町の旅籠付き小料理のどか屋の主。時吉と名を替え、おちよとの間にできた息子千吉は十五歳になった。祖父長吉の許で修業をしていた千吉に、縁あって“花板”の仕事が舞いこんだ。品川宿で田楽と蒲焼きの店を地攻めにあって潰された紅葉屋が、上野黒門町で再興できたのだ。跡取りが十歳のため、つなぎの花板の役が来たのだ。
花火大会の夜、新内流しの弁天太夫こと鉄五郎は、相方の松千代と家路の途中、心中の片割れとされる若い娘の死に出逢う。翌日、豪華絢爛な屋形船が爆発、さらに一月後、また若い娘の不審死と花火師の無残な骸が…。実は超の付く大富豪の鉄五郎、その財力をもって、弱き者の行き場のない怨みを晴らすため立ち上がり、季節外れの大仕掛け花火で極悪人たちを吊るし上げる!
旅籠付き小料理のどか屋のあるじ時吉は、十年ほど前、江戸で一番の料理人を決める“味くらべ”に出たことがある。その折に闘った若き女料理人がその後、品川で夫と田楽と蒲焼きの見世“紅葉屋”を出し人気となった。だが夫が病で亡くなり、幼い童と二人、悪辣な地攻め屋に立ち退きを迫られている。縁あって、お上の“黒四組”から秘かに十手を預かっている時吉と息子の千吉は…。
新内流しの弁天太夫と相方の松千代は、母子心中に出くわし二人を助ける。母親は理由を語らないが、身の振り方を考える太夫。一方太夫に、実家である江戸の様々な大店を傘下に持つ総元締め「萬店屋」を継げとの話が舞い込む。超富豪になった太夫が母子の事情を調べると、ある大名のとんでもない企みが…。悪徳大名を陥れる、金に糸目をつけない大芝居の開幕!
恋する男女の駆け込み寺は、江戸を騒がす大泥棒!?昼は遊び人の次郎吉、夜は義賊の“鼠”。懸命に生きる町人の幸せを守るため、今宵も江戸を駆け巡る。活劇と人情に胸震わす、人気時代小説シリーズ第11弾。
吉原で開業する医師・宇田川光蘭。腕に遠島の刺青があり、専ら遊女の医者として生活する変わり者だ。吉原界隈で起こる事件の探索を手伝い、時には裏で奉行所に代わって悪を『捌く』。忍者だった父の死の謎を解き明かし、ひそかに想いを寄せ続けている加賀藩の姫に一目会うため、光蘭は忍者修行を再開する。時代が幕末へと動き出す中で、吉原のはぐれ医者が“光”を求めて闇を斬り裂く。気鋭の著者が放つ、渾身シリーズ第2弾!
吉原で開業する医師・光蘭。腕に遠島の刺青があることもあって、普通の患者は寄りつかない。専ら遊女の医者として生活している変わり者だ。奉行所の与力に頼みこまれて、吉原界隈で起きる事件の探索を気まぐれに手伝い、時には奉行所が裁けない悪を代わりに『捌く』。禿には優しいが、引き取った猫は餌をやっても懐かない。活殺自在な凄腕医師の人情診療譚。
曲者による三浦屋襲撃事件以来、雷平八郎と四郎左衛門との間には、また最初の頃のようなよそよそしい感じが漂っていた。そんな時、三浦屋の夕霧太夫に三河岡崎藩主・水野忠辰との身請け話が持ち上がるが…。吉原に忍び寄る敵を、廓同心・雷平八郎の正義の剣が斬る!好評シリーズ第二弾!!
北町奉行所の定町廻り同心である雷平八郎は、仁王様のようないかつい面構えのため、女にもてたためしがない。そんな平八郎は色恋に疎いところを見込まれ、吉原勤番を命じられてしまうが…。百花繚乱、美しく咲き乱れる女の園で、平八郎が直面する愛憎渦巻く事件とは!?廓同心、雷平八郎の剣の冴えを見よ!
ちょいとドジを踏んでしまった“鼠小僧”こと次郎吉。忍び込んだ大名屋敷で、狙った大金はなく、いつもならそこで諦めるところ、ちょいと好奇心が頭をもたげた。開いている土蔵の扉に近づいた途端、侍と鉢合わせてしまったのだ。たちまち捕手が集まってきて、細い路地へ追い詰められる。一軒の長屋へ身を隠そうと戸を開けると、そこには血に染って死んでいる母と娘の姿がー。痛快エンタテインメント時代小説、第6弾!
浜松町の茶問屋「駿河屋」の姉妹は揃って器量よし、財産もあるが、結婚しないまま三十路を過ぎた。この先、気に入らない親戚に家を継がせるのも業腹だ。そこで妹のちよは名案を思いつく。白羽の矢が立ったのは、芝神明前の腕利き医師・北村宗哲のもとに出入りする浪人、長井判四郎。が、元渡世人の宗哲は、群雄割拠する江戸の裏社会に顔が利くだけあって、半四郎もややこしい状況に置かれていた…。人気シリーズ、堂々の完結。
次郎吉の目前で娘が腕を斬られた。娘は峰といい、奉公先の主人と通じ、その妻の恨みをかって襲われたのだった。峰の父は、娘の不貞に激怒するが、浪人暮らしの父を思い手当てをもらっていたことを知り、言葉を失う。そして、一度は断った「ある仕事」を引き受ける決意をした。それは、武士としてのプライドを捨てるものだったが…。
“鼠”こと次郎吉が酒を飲んでいた店に、抜身を手にした男が入ってきた。どうやら人を斬ってきたらしい。男は「しくじった…やり直しはできん。俺はもう終りだ。けりをつける」と言い残すと、刀で首を斬って自害した。一方、騒ぎに巻き込まれた店で働く娘おようは、自害した男が落としたあるものを懐に忍ばせ、家路を急いでいたー。盗賊・鼠小僧が悪をくじく痛快エンタテインメント時代小説。絶好調のシリーズ第4弾。
なじみの小料理屋で飲み、寝入ってしまった次郎吉。おかしな気配に気がついて目を覚ますと、隣家から火の手が上がっている!次郎吉の機転で延焼は防げたが、火元の家に住んでいた母と幼い娘が焼け出された。火事の原因は不明。さらに母子の周辺に見え隠れする怪しい人物たち。何かあると感じた矢先、今度は小料理屋が火事にー。人情篤い盗賊・鼠小僧こと次郎吉が悪と闘う痛快時代小説シリーズ。ますます絶好調の第3弾。
八幡祭りで賑わう夜。大川に架かる永代橋が落ちた!あまりに大勢の人出で、橋が重みに耐えられずに起きた事故だった。だが犠牲者の中にひとり、肩口に大きな刀傷のある女がいた。殺しかー?いわくありげな女の正体と事件の真相を鼠が追う!昼の顔は“甘酒屋の次郎吉”と呼ばれる遊び人。しかし夜になれば江戸の正義を守る盗賊・鼠小僧。庶民の味方“鼠”が活躍する痛快時代小説シリーズ第2弾。
病気を治す腕は一流、厄介事を解決する知恵も一流、宗哲の医院は今日も大繁盛だ。今村芳生なる蘭方医が宗哲のもとを訪れ、“本道(内科)に限っては官医に蘭方を禁ずる”という幕府の達しに、激しく不満を述べた。宗哲が相手にしないとみると、漢方医で将軍家御匙の楽真院と老中首座に直談判に行く始末。辟易した楽真院から、今村の口を封じられないか、と相談を受けた宗哲だったが…。人情の機微に触れるシリーズ第3弾。