著者 : 実石沙枝子
こんな顔、もううんざりなんだよ! 過剰に整ったルックスのせいで、 周囲の嫉妬と反感を一身に集める女子高生マッド。 いじめも炎上も停学も、美しすぎる代償ーー なんてことが、あってたまるか! 十代の揺らぐ心と無意識のルッキズムを鮮烈に描き出す、会心作! 「これって全部、あたしが悪いの?」 県立第一高校に通う槙島朱里ダイアナは、名前の頭文字をとって「マッド(MAD)」と呼ばれている。圧倒的なその美貌は、周囲のあらゆる感情を刺激し、波乱を巻き起こしてきた。敵視してくる女子グループ、媚びる男子勢、勝手に炎上するSNS、学園祭の入場制限……。「これ、マッドのせいだよな」「調子乗ってんじゃねえよ!」心ない言葉を浴びせるクラスメイトたちだが、マッドが心のうちに抱え込む怒りと哀しみにふれたとき、自らの偏見とエゴに気づかされてーー。 見た目から逃れられない若者たちの葛藤を描いた青春群像!
地方都市・天島市で造船業を営んできた大家・扇谷家で2025年4月、予言者として一族を繁栄させてきたおばあさまの手帳が見つかった。手帳によると、おばあさまは100歳となる今年死亡するらしい。一族の皆が集まり、家じまいをすることになるのだが、本家の娘・立夏には気になることがあった。それは認知症になって以来、おばあさまが繰り返し「若い頃、桜の木の下に死体を埋めた」と言っていたことと、言葉なき者の声を聞く能力を持つ立夏は、それが本当だと知っていることーー。
元JK、一人ぼっちの出口(サリーダ)を目指す! 「はぐれものに居場所はない」 親友と自分のいじめを放置した先生はそう言ったけど、わたしは違う! 突然差し伸べられた赤の他人の手を取った彼女は、フラメンコに出会いーー。 今なら何でもない事に、傷つき、悩んだあの頃。 あなたの中の少女にやさしく語りかけたい。 「大丈夫。たとえまた暗い夜が来ても、わたしはそこから抜けだせる!」 小説現代長編新人賞作家、待望の最新作 〈あらすじ〉 新菜は親友と自分のいじめを放置した学校をやめた。暇を持て余す彼女はある日、プロのフラメンコダンサー玲子とカンタオール(歌い手)ジョージと出会う。二人の誘いでフラメンコを始めた新菜。玲子の優しさとジョージの歌に触れながら、止まっていた新菜の17歳は再び時を刻み始める……。
わたしがわたしであるために、 物語がつづきを書いてと叫んでいる。 少女から大人へのーーはてしない物語。 中学生の本村結芽は、急死した伯母の部屋で、愛読する児童書の原稿を見つけ舞い上がる。『鍵開け師ユメ』シリーズは、孤独な小学校生活を過ごした結芽にとって、唯一の友達であり、心の拠り所だった。伯母は、その作者イズミ・リラだったのだ。最新作を夢中で読むが、しかし遺稿は未完のまま。どうしても続きが読みたい結芽は、自分で物語の続きを書くことを決意する。第一巻からページを繰り、主人公ユメの魔法の呪文を唱えると、物語の中へ飛び込めた結芽。ファンタジーの世界と現実を行き来できるようになり、自らの冒険を書き記していくが、何かが足りない。物語に息吹を吹き込むには、伯母の、イズミ・リラの人生を知らなければーー。 現実を生きる自分、ユメとしての自分、伯母を探す自分。結芽の本当の冒険が、はじまった!
Apple Books 2022 今年のベスト(デビュー部門) 芸術を通して死者と向き合うといった普遍的な取り組みに、 死者視点の二人称と、さらにはSF的な趣向を加えた技巧的な意欲作。--宮内悠介 記憶喪失、アップデートされる幻覚、さらに夢を用いながら大切だった人を思い出していくという、とても凝った造りの作品で強く惹きつけられた。--薬丸岳 完成間近の卒業制作を教授に酷評された木田蒼介は、自分の過去ーー交通事故で亡くした幼馴染・河井明音をテーマに作品を描き直すことを決める。しかし、蒼介は彼女にまつわる記憶を完全になくしていた。明音に関する情報を集めるうち、蒼介の思い描く明音像を投影した幻覚・アカネが現れる。蒼介は、徐々に失われた記憶を辿っていく。 第16回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。