著者 : 宮地謙
夏の気配夏の気配
逆境に耐えて生きる娘に、 突然のプロポーズをしたのはーー ロンドンで見習い看護師をしていたフィーベは、 病気の叔母の面倒をみるためサフォーク州の村へやってきた。 口うるさく偏狭な叔母の世話は苦労つづきだったが、 主治医ジョージの温かな見守りと励ましのおかげもあり、 なんとか最期まで看取ることができた。 ところがその直後、フィーベに思わぬ災難が襲いかかる。 叔母が財産をすべて寄付したため、住む家を失ってしまったのだ! 看護の勉強をやめてまで来たのに、1ペニーも遺してくれないなんて……。 呆然とするフィーベに、ジョージが突然、驚くべき言葉をかけた。 「僕らが結婚するのがいちばんいいと思うんだ」 ろくに互いのことを知りもしないのに、いきなり結婚だなんて……。フィーベはジョージの申し出に戸惑い、こんなときに相談できる誰かがいたらと、天涯孤独の身を嘆きます。でも、時間をかけて幸せな夫婦になろうと言う彼を信じ、プロポーズを受けることにーー
PREV1NEXT