著者 : 宮本陽一郎
オクトーバー・ライトオクトーバー・ライト
この社会は腐り、尊敬に値する人間は、どこにもいない。老人はCMの甘ったるいささやき、クイズ番組のあほらしさに怒って、ついにテレビをショットガンでぶち抜いた。…「いいかげん、くたばっちまえ」青年は世界に向って吐き捨てるように言った。だが世界はだらだらと尾を引いていく。自殺するしかない。青年は金門橋の橋げたにぶらさがった。…コレハ我ガ肉体デアル…。取ッテ食ベヨ…。ジェインは一方の手でひとりの男の巨大な背り返ったペニスを、もう一方の手で、もうひとりの男のものをそっと握りしめた。彼女は自分の肉体がグランド・キャニオンのように開くのを感じた。…全米批評家賞受賞、現代アメリカ文学の最高傑作。
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