著者 : 小原周子
わたしは誰も看たくないわたしは誰も看たくない
サラリーマンの夫、大学生の一人息子と暮らしている神崎穂乃果は、両親と妹が切り盛りしている山中の小さな温泉宿が実家だった。ある日、病気で倒れた父がそのまま意識不明の寝たきりとなる。穂乃果は介護を母と妹に任せっきりにするが、自宅に引き取るか施設に入れるよう病院から迫られた妹は、経管栄養を止めて父を餓死させる決断をする。妹の暴挙を止めようとする穂乃果だったが、姉妹の間には過去のある出来事に起因する深い確執があった。一方、穂乃果の義母の自宅がゴミだらけの汚部屋になっていることが分かり、彼女は夫の実家にも一言言わずにはいられない。
新宿ナイチンゲール新宿ナイチンゲール
看護師の桑原ひまりは新宿のネットカフェで暮らしている。ネット経由で依頼を受け、患者の自宅に泊まり込んで介護をするのが仕事だ。不衛生な環境、終末期の患者、料金交渉してくる家族など、派遣先の事情はさまざまだが、それでも、布団で眠れる日は恵まれている。患者と家族と看護師と、本当の弱者は誰なのか。第12回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
PREV1NEXT