著者 : 小杉健治
湯島天神の境内で強請に居合わせた隠密同心の市松。どうやら脅迫のネタは幕府を揺るがす密約の書付らしい。事実を知る関係者が闇に葬られていることを知り、市松は真相解明に乗り出す。だが、背後には三千石の旗本松尾主水と、幕閣で権勢を誇っている老中本柳越後守が控え、うかつに手を出せない。密約の真意とは?やがて旗本の中間として潜入した市松に魔の手が…。危うし市松!面白さ倍増のシリーズ新章、第一弾!
材木問屋『飛騨屋』が与力の高坂又五郎を抱き込み、源蔵を陥れようと画策。源蔵は、植木職人・升吉殺しの下手人として、時蔵をお縄にした。だが、時蔵は、吟味の場で、升吉が殺された晩、高坂と会っていたと言う。取り違えによって源蔵は、お役差し止めを命じられる。罠を仕掛けた『飛騨屋』の狙いは!?源蔵に代わって、文太、六助、竜吉が、真実に迫る!
香保を妻に娶り、松江藩のお抱え医師として、新たな一歩を踏み出した宇津木新吾だったが、なぜ自分が藩医に乞われたのか、その理由が腑に落ちぬままだった。新吾の役目はおもに下級武士を診ることだったが、藩主多岐川嘉明を警護する腕利き三人がいずれも同じ病気に罹っていることに不審を抱く…。書き下ろし青春時代小説、シリーズ第七弾!!
贋金造りの科で武蔵屋善兵衛に裁きが下った。差入を度々届けていた妾にその死を知らせようとしたところ、女は全くの別人だったという。彼女は一体何者だったのか?真相を求め決死の覚悟で武州柿沼村に出向いた隠密同心の市松。そこは三十年前に父の人生を変えた事件が起きた土地であり、大いなる罠が待ち受けていた!果たして市松は生還できるか?そして黒幕の正体はーすべての謎が結びつくシリーズ最高潮の一作!
その顔を見た者はいないー。一家皆殺しの残忍な押込みを働く『鬼夜叉』一味の犯行を阻止した風烈廻り与力青柳剣一郎。だが、恨みを抱いた一味が放った凄腕の刺客から不意の襲撃を受ける!剣一郎のおかげで難を逃れた木綿問屋『戸倉屋』も、悪所通いにより勘当された長男浪太郎に言葉巧みに近付く輩が…。『鬼夜叉』と剣一郎の、父と子の、因縁が絡む戦いの行方は!?
青物売りの仙太は働き者だが、喧嘩早い性分が玉に瑕。惚れた娘おすみが、母親の薬代に借りた三十両の借金に困っていると知り、人情質屋と評判の『万屋』へ。主の藤十郎は、あるものを質草にすることを条件に金を貸す。だが、仙太が喧嘩で助けた年寄りが殺されたため、意想外の悪事に巻き込まれ…。盗賊一味と火盗改めが暗躍するなか、敢然と悪に立ち向かう藤十郎の活躍!痛快人情捕物帳。書き下ろし。
両国の川開きの日、船頭・多吉の屋根船に乗り移った浪人は、商家の旦那を殺して姿を消した。幼馴染みで同心の音之進と調べ進めるうち、その男は堂々と姿を現すが、それと呼応するように、多吉に想いを寄せる女中のお文が何者かに連れ去られ…。人気シリーズ第四弾。
伽羅に似た香りの鬢付け油が大人気の『錦屋』。その主・卯三郎は、何でも金の力で他人のものを奪い取ると評判だ。ある日、腹を真一文字に斬られた男の死体が見つかった。青柳剣一郎は、男が錦屋を探っていたと知り、卯三郎が本物の伽羅をつかっているのではと疑う。さらに、錦屋の用心棒が相次いで襲われ、大盗賊が伽羅を狙っていた話を耳にする。欲望渦巻く争いの行方は!?
ある夜、幻宗と新吾は、刀傷を負った侍の手術に往診した。翌朝、同じ屋敷を訪れた新吾は「怪我人などおらぬ」と、門番に追い返される。一方、順庵の患家では、内儀と手代が駆け落ちするという騒動が持ち上がっていた。新吾の周りで起こったまったく無関係な二つの出来事が奇妙に絡み合っていく…。書き下ろし青春時代小説、シリーズ第六弾!!
自転車で蛇行運転をしていた青年が、警察官に捕まり、取り押さえられているときに死亡した。警察官の暴行を目撃した複数の人間がいるにもかかわらず、県警は正当な職務だと主張するのだった。青年の父親の依頼で水木弁護士が動いたのだが…。
突如意識を失い、高熱を発する奇病が発生した。その原因、治療法とも不明。さらに奇妙なことには、鬼仙院と名のる修験者の祈祷で、その症状はピタリと治まったのだ。鬼仙院は、大黒天魔王の祟りだと言うのだが、幻宗、新吾らは何らかの毒薬と解毒剤が使われたと睨む。奇病の真相を暴くべく、そして一方では行方知れずの香保を捜しながら、新吾は江戸の街を疾走する!書き下ろし青春時代小説、シリーズ第五弾!!
銀座ホステス絞殺事件で、担当検事の江木秀哉は捜査に関しての疑問を呈したものの、彼の話に耳を傾けたのは高須刑事だけだった。くしくも高須は、二十年前、秀哉の父・秀蔵とともに、迷宮入りしたある殺人事件の捜査にあたっていた。名刑事と謳われた秀蔵は余命半年の診断をうけ、今は病床にある。一見無関係なふたつの事件が絡み合っていく…。父子の深い絆を描いた感動のミステリー!
石出は、殺人の罪を償って13年ぶりに出所。真面目に仕事を始めた矢先、石出の部屋で、祖母の介護担当だった女性が殺される。石出は容疑を否認するが、情況は不利。鶴見弁護士は、彼の無実を信じて調査を開始する。出所直後に山中温泉を訪ねている事実を知り、行動をたどると、意想外の過去の因縁がー。哀切をおびた山中節の世界から連続殺人を解き明かす鶴見弁護士の活躍!書き下ろしミステリー。
口入屋『宝生屋』番頭の久次郎と町火消し吾平の惨殺体が立て続けに見つかった。風烈廻り与力・青柳剣一郎は手口の残忍さから同一犯と断定。宝生屋主の与五郎が二人と博打仲間だったと知り遺恨を疑うも、与五郎は身に覚えがないと言う。だが与五郎も謎の刺客に襲われ、十五年前の悲惨な事件が浮上する…。哀しみの果てに己を捨てた復讐鬼を、剣一郎はどう裁く。
水野忠邦の天保の改革を支えた鳥居耀蔵は、南町奉行の座を追われ、讃岐国にお預けの身である。奢侈禁止令で庶民に圧政を強いた鳥居に、般若同心・柚木源九郎は反撥。その鳥居が、かつての配下を束ね、謀略を仕掛けてきた。源九郎は、同僚の同心たちから「獅子身中の虫」を炙りだし、難局を乗り越えられるのか!?大人気シリーズ最終章。
藩財政改革の立役者と筆頭家老の対立が続く芸州藩の御家騒動に風神一族が関与しているとの報を受けた佐原市松。唯一の手掛かりとなる「才蔵」とは風神一族の暗号か?謎を追うべく国元に潜入した上役の松原源四郎は長らく音信不通。芸州浅見家の家臣だと明かされた長屋の隣人・成瀬三之助とともに疑惑の住人の追跡を進めるうち、事態は予想外の展開を迎え…。隠密同心・市松の活躍を描く、手に汗握るシリーズ第三弾!
足袋問屋『山形屋』への婿入りを次男から切望され、鼻緒問屋『能代屋』の主は悩んでいた。相手は美人だが、高額の持参金、趣味三昧、病死した婿は毒殺だった、と黒い噂ばかり。真相究明を頼まれた青柳剣一郎は、仲人や検視した同心を尋ね歩くが、前夫の死因は揺るがない。そう結果を報告するも、次男が婿入りした直後に事件が!奥深い男女の闇を剣一郎が斬る。
小間物屋の幸三は、客に二十両分の商品を騙し取られた。金に困り、喧嘩別れした幼馴染みに借金を頼みに行くが、断られる。その帰り、高価な茶碗を拾った幸三は、浅草の質屋『万屋』へ、質草として持ち込む。主人の藤十郎は、この茶碗に血の痕を見つけ、不審を抱く。茶碗の出所を探り始めると、悲惨な事実が浮かび上り…。庶民を護る藤十郎の名裁きやいかに!痛快人情捕物帳。書き下ろし。