著者 : 小松謙
【本書の特色】 ◎原文の雰囲気を可能な限り自然な日本語に移すことを目指した。 ◎底本は、完全な本文を残す最古本「容與堂本」(中国国家図書館所蔵)を使用。「容與堂本」本文に問題がある場合は、注釈において指摘し、他本の本文を採用した。 ◎本文は原則新字を使用。注釈であげる書名は繁体字(正字)、引用は伝統詩文については繁体字、『水滸伝』本文を含む白話文学については、原文の用字をできるかぎり正確に再現した。 ◎「容與堂本」・「金聖歎本」に附された批評は、中国・日本文学に与えた影響を鑑み全文を翻訳。 ◎主要版本間の異同を原則として全て示し、異同が生じた原因についても可能な限り考察を加えている。 詳注全訳水滸伝 第六巻 第三十四回 鎮三山 大いに青州道を閙がし 霹靂火 夜瓦礫場を走る 第三十五回 石将軍 村店に書を寄せ 小李広 梁山に雁を射る 第三十六回 梁山泊に呉用 戴宗を挙げ 掲陽嶺に宋江 李俊に逢う 題三十七回 没遮攔 及時雨を追趕し 船火児 夜潯陽江を閙がす 第三十八回 及時雨 神行太保に会い 黒旋風 浪裏白跳と闘う 第三十九回 潯陽楼に宋江 反詩を吟じ 梁山泊に戴宗 假信を伝う 第四十回 梁山泊の好漢 法場を劫し 白龍廟に英雄 小聚義す
日本人にも馴染みの深い「四大奇書」の『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』。出版バブルを迎えた明代後期は、人々が規範や常識を超えて、自分らしい人生を求めた、熱狂の時代だった。いかにして話し言葉による「白話小説」は生まれたのか。なぜアウトローが主人公で、反体制的なのか。作品を刊行した真の狙いとは何だったのか。元代から清代まで辿り、政治史・世界史からのアプローチも用いて、中国文学史の謎を解き明かす。 はじめにーー明という時代 第一章 モンゴルの遺産 第二章 明代前期に起きたこと 第三章 寧王朱宸濠の反乱ーー戦争マニア武宗正徳帝と王陽明 第四章 新しい哲学と文学を求めてーー陽明学と復古派 第五章 誰が、何のために『三国志演義』『水滸伝』を作り上げたのか 第六章 「南倭」と短篇白話小説集の出現 第七章 「北虜」と『金瓶梅』 第八章 熱狂の時代ーー出版の爆発的拡大と「真」の追究 第九章 祭の終わりーー最後の輝きと明の滅亡 終 章 その後のことーー消え去ったものと受け継がれるもの おわりに 関係年表
第五巻 第五回配本(2024年1月刊) 第二十七回 母夜叉 孟州道に人肉を売り 武都頭 十字坡に張青と遭う 第二十八回 松武 威もて安平寨を鎮め 施恩 義もて快活林を奪う 第二十九回 施恩 重ねて孟州道に覇たり 武松 酔いて蔣門神を打つ 第三十回 施恩 三たび死囚牢に入り 武松 大いに飛雲浦を鬧(さわ)がす 第三十一回 張都監 血は鴛鴦楼に濺ぎ 武行者 夜蜈蚣嶺を走る 第三十二回 武行者 酔うて孔亮を打ち 錦毛虎 義もて宋江を釈す 第三十三回 宋江 夜小鰲山を看(み) 花榮 大いに清風寨を鬧(さわ)がす
【本書の特色】 ◎原文の雰囲気を可能な限り自然な日本語に移すことを目指した。 ◎底本は、完全な本文を残す最古本「容與堂本」(中国国家図書館所蔵)を使用。「容與堂本」本文に問題がある場合は、注釈において指摘し、他本の本文を採用した。 ◎本文は原則新字を使用。注釈であげる書名は繁体字(正字)、引用は伝統詩文については繁体字、『水滸伝』本文を含む白話文学については、原文の用字をできるかぎり正確に再現した。 ◎「容與堂本」・「金聖歎本」に附された批評は、中国・日本文学に与えた影響を鑑み全文を翻訳。 ◎主要版本間の異同を原則として全て示し、異同が生じた原因についても可能な限り考察を加えている。 第四巻 第四回配本(2023年6月刊) 第二十一回 虔(とりもち)婆(ばばあ) 酔いて唐牛児を打ち 宋江 怒りて閻婆惜を殺す 第二十二回 閻婆 大いに鄆城県を鬧(さわ)がせ 朱㒰 義もて宋公明を釈(ゆる)す 第二十三回 横海郡に柴進 賓をとどめ 景陽岡に武松 虎を打つ 第二十四回 王婆 賄(まいない)を貪りて風情(いろこい)を説き 鄆哥 不忿(いか)りて茶肆を鬧(さわ)がす 第二十五回 王婆 計もて西門慶を啜(そそのか)し 淫婦 薬もて武大郎を鴆(ちん)す 第二十六回 鄆哥 大いに授官庁を鬧(さわ)がせ 武松 闘いて西門慶を殺す
第三巻 第三回配本(2022年7月刊行) 第十四回 赤髪鬼 酔いて霊官殿に臥し 晁天王 義を東渓村に認む 第十五回 呉学究 三阮を説きて撞籌(なかまいり)させ 公孫勝 七星に応じて聚義す 第十六回 楊志 金銀担を押送し 呉用 智もて生辰綱を取る 第十七回 花和尚 単(ひと)り二龍山を打ち 青面獣 双(ふた)りながらに宝珠寺を奪う 第十八回 美髯公 智もて挿翅虎を穏(なだ)め 宋公明 私(ひそ)かに晁天王を放つ 第十九回 林冲 水寨に大いに併火(なかまわれ)し 晁蓋 梁山に小(やや)泊を奪う 第二十回 梁山泊に義士 晁蓋を尊び 鄆城県に月夜 劉唐を走らす
第二巻 第二回配本(2022年4月刊) 第七回 花和尚 倒(さかさ)に垂楊柳を抜き 豹子頭 誤りて白虎堂に入る 第八回 林教頭 滄州の道に刺配され 魯智深 大いに野猪林を鬧(さわ)がす 第九回 柴進 門に天下の客を招き 林冲 棒もて洪教頭を打つ 第十回 林教頭 風雪山神廟 陸虞候 火もて草料場を焼く 第十一回 朱貴 水亭に号箭を施し 林冲 雪夜梁山に上る 第十二回 梁山泊に林冲落草し 汴京城に楊志刀を売る 第十三回 急先鋒 東郭に功を争い 青面獣 北京に武を闘わす
序 章 第一部 『水滸傳』 第一章 『水滸傳』諸本考 一、『水滸傳』本文校勘作業の意義 二、金聖歎本の底本 三、容與堂本・無窮會藏本・遺香堂本・百二十回本の關係 四、嘉靖本 五、嘉靖本と容與堂本・無窮會藏本・百二十回本 六、容與堂系諸本ーー三つの「容與堂本」と四知館本ーー 七、『水滸傳』テキストの展開 第二章 『水滸傳』石渠閣補刻本本文の研究 一、石渠閣補刻本に關わる從來の議論 二、石渠閣補刻本の性格 三、石渠閣補刻本の補刻部分 四、石渠閣補刻本の本文 五、石渠閣補刻本と他の版本の關係 六、石渠閣補刻本(京都大學文學研究科圖書館藏本)の價値 第三章 『水滸傳』本文の研究ーー文學的側面についてーー 一、『水滸傳』本文の繼承關係 二、本文の變化から何を明らかにしようとするのか 三、『水滸傳』本文の變遷(一)韻文の問題 四、『水滸傳』本文の變遷(二)文面の問題 第四章 『水滸傳』本文の研究ーー「表記」についてーー 一、白話文とは 二、「表記」の問題とは 三、表記の模索(一)--新たな文字ーー 四、表記の模索(二)--適切な表記へーー 五、表記の模索(三)--文法的機能に卽應した書き分けーー (1)liについて (2)「的」と「得」について 六、結び 第五章 金聖歎本『水滸傳』考 一、金聖歎本について 二、金聖歎は何を行ったのか 三、金聖歎による本文改變1--どのような部分を改變したのかーー 四、金聖歎による本文改變2--改變内容ーー 第二部 『金瓶梅』 第六章 『金瓶梅』成立考 一、『金瓶梅』の特異性 二、『金瓶梅』は何を描こうとしているのか 三、『金瓶梅』創作の目的 四、『金瓶梅』に登場する人々 五、『金瓶梅』と「北虜南倭」 六、『金瓶梅』の作者 終 章 あとがき 索引