著者 : 小林久三
水曜日が怖い水曜日が怖い
新妻梶浦沙知子は怯えていた。この1カ月、毎週水曜日の晩に都内で放火事件が発生し、その日に限って夫の清彦が深夜、蒼い顔で帰宅するのだ。放火現場はすべて清彦が独身時代に住んでいた、沙知子にも馴じみの深い場所だ。〈夫は放火犯か?〉疑惑に取り憑かれた沙知子に追討ちをかけるように、清彦の知人が相次いで殺された…。そんな折、沙知子は清彦から木曽路への旅に誘われた。〈私は夫に殺される!〉恐怖に苦悩する沙知子だったが…。名手が書下ろしたミステリーの傑作。
社内報殺人事件社内報殺人事件
社内報に掲載された随筆を読んだ時、杉本侑平は顔色を変えた。うまく脚色されているものの、そこに書かれていたのは自分と専務夫人との情事の一景。しかも筆者はかつての部下、戸張新一だったのだ。戸張の狙いを思いあぐねる杉本だったが、その数日後、戸張が何者かに殺害され、警察の手が杉本に延びてきた…。表題作のほか、鮮かなトリックが冴え渡る、傑作本格推理5篇を収録。