著者 : 小林由香
週刊誌記者の柊二は、封印していた自分の過去が書かれている小説に出会う。「これは誰が書いたのか、この著者の狙いは」-。覆面小説家について調べ始めた時、会社にかかってきた一本の電話。「おまえの兄は人殺しだ」-。兄が起こした「美麗村少年リンチ殺人事件」と姉がトラックに轢かれて死んだ事故。痛ましい記憶の真相を探るため柊二は故郷を訪れるが、その過去は、追えば追うほど、形を変え、魔物のように襲ってくる。真夜中の公園、死んだ姉、殺された少年…。自分だけが知らなかった真実の物語。
中学三年生の少女が同級生に刺殺された。加害者の少女は、ある新人文学賞の最終選考で落選し、哀しくなったので殺したと供述。さらに、その新人文学賞を受賞した作家が自殺。遺書には、新人賞を受賞して申し訳ないと書かれていた。その後、加害少女は犯行の動機を二転三転させる。やがて、少年院にやってきた篤志面接委員(刑務所や少年院などの矯正施設に収容されている者の改善更生と社会復帰を手助けする民間のボランティア)に少女は告げた。
東京の進学校に通っていた、高校一年の成瀬航基は、母の再婚をきっかけに、ある田舎町に引っ越すことになった。転入して間もない学校生活は順調に進んでいたが、そんな状況が一変し、突然いじめのターゲットになってしまう。いじめは次第にエスカレートしていき、航基は身も心も耐えられなくなっていく。不条理な目に遭うたびに心は削られ、誰にも相談できずに、我慢の限界を迎えた航基が出した結論は「死」。地元で『ゴーストリバー』と呼ばれる河を自殺の場所に選ぶが、その河でほとんど学校にも登校せず、真面目に授業も受けない、クラスメイトの月島咲真と出会う。そんな咲真が航基に対し、「報復ゲームに参加しないか」という衝撃的な一言を放つー。命の重要性を問いかけ、連鎖する“いじめ問題”に一石を投じる、青春ミステリ小説。
「悪魔の子」と噂される少年、良世。彼と過ごしたあの日を、あの叫びを、私は決して忘れない。この少年は怒っていますか、泣いていますかー。あなたは子どもの何を知っていますか、何を信じていますか。
助けてくれた青年を置き去りにしたことで被害者だったはずの少年は、世間から集中砲火を浴びた。大人になった今、心を閉ざした彼の身に危険な出来事が次々と迫るー。話題作『ジャッジメント』の著者が放つ哀しみと衝撃のミステリー!
いじめや虐待、誘拐など命の危険を感じた時に起動させると、児童救命士がかけつける「ライフバンド」。児童保護救済法が成立し、義務教育期間の子どもにその着用が義務づけられた。ある日、新米児童救命士の長谷川は「ライフバンド」の検査で小学校に出向き、そこでわざと警告音を鳴らす少年と出会う…。生きづらい現代に希望を照らす、衝撃の問題作!