小説むすび | 著者 : 小林葉月

著者 : 小林葉月

花嫁の切なる願い花嫁の切なる願い

病の娘のためなら、何もいとわないーー 私を不幸にした彼に頭を下げることも。 幼い娘が白血病にかかり、一人親のマーラは治療費に困っていた。 夫が亡くなったために医療保険が支給されないのだ。 1年前のあの日、旧友で資産家のファルコンと再会した夫は、 ファルコンのおごりで酒を飲み、運転中の事故で帰らぬ人となった。 夫の死に関してファルコンにも責任があると感じたマーラは、 葬儀の日に彼が申し出た援助を、衝動的に拒んだのだった。 だが万策尽きた今、マーラはやむをえずファルコンを訪ね、 家政婦として働いて返済するので、治療費を貸してほしいと願い出る。 小切手は切ってやるから、さっさと帰れと追い返された翌日、 突如ファルコンが彼女の家に現れ、言った。「僕と結婚するんだ」 掃除、洗濯、料理、どんなことをしてでも娘の治療費をーー我が子の命を救いたいマーラの切なる願いは、ファルコンの突然の愛なき求婚によって、思わぬ方向へとさまよいはじめます。一緒に暮らしはするけれど、名ばかりの夫婦でいればいいという彼の真意とは?

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