著者 : 小鷹信光
私立探偵リュウ・アーチャーは怪しげな人物からの依頼で、失踪した女を捜しはじめた。ほどなくその女が喉を切り裂かれて殺されているのを発見する。現場には富豪の青年が消息を絶ったことを報じる新聞記事が残されていた。二つの事件に関連はあるのか?全容を解明すべく立ち上がったアーチャーの行く先には恐ろしい暗黒が待ち受けていた…。錯綜する人間の愛憎から浮かび上がる衝撃の結末。巨匠の初期代表作、新訳版。
男がバーで「マクジョージ」と叫び客を撃つ。が、撃たれたのはマクジョージではない?これは単なる間違いか。ターンバックル刑事が迷推理を展開!(「容疑者が多すぎる」)。強盗3人が家に押し入ってきた。カード遊びに興じる犯罪者に私が仕掛けたのは…(「ようこそ我が家へ」)。男は自らを異星人と主張し、殺人光線がもう地球に届くという。が、話は予想外の話“フララリーオードル”へと広がり…(「殺人光線だぞ」)。100%予想不可能なほどの“びっくり”が保証付。日本初訳25篇を集めたオリジナル短篇集。
1961年に亡くなるまで書き続けられ、未完となっている中篇小説「チューリップ」を中心とし、初期の文芸作品風の短編も収めた小説集。ハードボイルド小説の日本での紹介者・小鷹信光個人訳に、評論・解説を付した本。
私立探偵フィリップ・マーロウのオフィスを一人の優美な女が訪れた。その名はクレア。髪はブロンドだが、瞳は黒色という珍しい取り合わせだ。香水会社を営む裕福な一族の出だという彼女は、突然姿を消したかつての愛人を探して欲しいと依頼する。マーロウは、なぜ自分にと訝りながらも、この美しい女の依頼を受けて調査を始めた。それが忘れがたい過去と再び向きあう契機になるとは知らず…。英文学最高峰のブッカー賞受賞作家ジョン・バンヴィルが別名義で挑んだ、チャンドラー『ロング・グッドバイ』の公認続篇!
撲殺体の額には、口紅でAの文字が書かれていた。さらに額にBの文字のある死体が…(「ABCの連続殺人事件」)。大学で二人の天才学生が同部屋になる。一方は13歳、一方は57歳。少年は最近、年長者を殺害したがり始めた(「学問の道」)。いま飛び降り自殺をしようとする男が自分の駄目さを嘆く、が、説得する刑事自身が自分の駄目ぶりを話し出す(「下ですか?」)。巧みな展開と伏線、おとぼけなユーモアセンス、してやられたと感嘆する結末が待ち受ける!-あらゆる手段を用いた絶品23篇収録のオリジナル短篇集。
私立探偵サム・スペードの事務所を若い女が訪れた。悪い男にひっかかり、駆け落ちした妹を連れ戻して欲しいとの依頼だった。スペードの相棒が相手の男を尾行するが、相棒も男も何者かに射殺されてしまう。女の依頼には何か裏があったのか…。やがて、スペードは黄金の鷹像をめぐる金と欲にまみれた醜い争いに巻き込まれていくーハンフリー・ボガート主演映画で知られる、ハードボイルド小説の不朽の名作。改訳決定版。
コンチネンタル探偵社の調査員の私は、科学者のエドガー・レゲット邸で起きたダイヤモンド盗難事件をきっかけに、博士の娘ゲイブリエルと知り合う。麻薬に溺れ、怪しげな宗教に傾倒する彼女を私は救おうとするが、その周辺では関係者の自殺や謎の死など怪事件が次々と…果たして一族に伝わる恐るべき呪いなのか?ハードボイルドの巨匠による異色作、半世紀ぶりに新訳なる!ハメット研究の第一人者による待望の訳業。
心に深い傷をおった私立探偵C・W・シュグルーは、愛する家族に囲まれ静かな生活を送っていた。だが、親友の精神科医マックの頼みを断わり切れず、盗まれた診療記録の行方を追うことに。危険のない調査のはずだったが、シュグルーの目の前で容疑者たちが次々と惨殺されていった。しかし犯人の尻尾はまったくつかめない。妻と息子から遠く離れ、実りのない孤独な調査に奔走するシュグルーの心は、しだいにかつての狂気に取りつかれていく-雄大な西部を背景に、男の友情、魅惑的な女たち、暴力、そして裏切りにつぐ裏切りを描く、ハードボイルドの巨匠の傑作長篇。
酒場で出会い深い仲となった「危険なまでに魅惑的」な女モリーの依頼を受けた酔いどれ探偵ミロ・ミロドラゴヴィッチ。レイプされ、無惨に殺された妹の敵討ちを手伝って欲しいというのだ。女の言葉を信じ、容疑者が現われるはずの公園へと向かったミロだったが…テキサスで酒場を経営し退屈な日々を送っていたミロを突如襲う無数の銃弾。酔いどれ探偵に安息の日々は訪れないのか?ついに沈黙を破った巨匠が放つ、叙情派ハードボイルドの新傑作。CWA(英国推理作家協会)賞シルヴァー・ダガー賞受賞作。
不良少年のグループからやくざの使い走りになった貧しいイタリア移民の末裔、リコ。彼はギャングの一人として現金強奪で名をあげ、暗黒社会の中で知られた顔になる。力と策謀で仲間を出し抜き、追い落とし、ついには縄張りを握ってその頂点に立つが…。無名だったエドワード・G・ロビンソンを一躍大スターにした映画『犯罪王リコ』の原作であり、ジェイムズ・エルロイやジム・トンプソンに大きな影響を与えたクライム・ノヴェルの古典的名作。
『酔いどれの誇り』のミロ・ミロドラゴヴィッチと、『さらば甘き口づけ』のC・W・シュグルーという二大探偵の競演がついに実現した。親の遺産を持ち逃げされたミロと、謎の刺客に襲われ九死に一生を得たシュグルーの二人は、それぞれの思惑を胸に一路メキシコ国境を目指すが、その過程で一人の謎の女の存在に突き当たる。
本書は、70年代のもっともすばらしい私立探偵小説といわれる『さらば甘き口づけ』の続篇にあたり、国際推理作家協会が主催するハメット賞を受賞するなど高い評価を得た作品である。魅力的な登場人物たち、想像力豊かで奔放なプロット、詩情豊かな語り口など、クラムリー節は相変わらず健在だ。ハードボイルドの最高峰クラムリーの入魂の最新作。
賭博師のボーモンは、建設会社を経営する友人のマドヴィッグから大胆な計画を打ち明けられた。地元の上院議員の後ろ盾となって、市政の実権を握ろうというのだ。が、その矢先、議員の息子が殺され、関係者のもとにマドヴィッグを犯人とほのめかす匿名の手紙が届けられた。窮地に立たされた友のため、ボーモンは自ら事件の渦中に飛び込んでいく。非情な世界に生きる男たちを鮮烈に描くハードボイルドの雄篇。新訳決定版。
ティモシー・コーンーくずれたロフトに猫と住み、雑巾のようなスーツを身にまとう。ウォール街の企業情報会社で働く彼は、地下鉄で轢死した同僚の仕事を引き継ぐ。大手不動産会社の内情調査だ。やがて、近親相姦と麻薬に溺れる経営陣の、銀行に対する不審な動きが浮かび上がる。表題作のほか人工受精クリニックで起きた連続殺人を追う「精子銀行の謎」を収録。病める現代を鋭く抉る傑作ハードボイルド。
ジェイクは半ば呆れていた。今日はディックが駆け落ちをやらかす日。だが肝心の相手が姿を見せない。やむなく先方を訪ねてみれば屋敷は警官だらけ、おまけに彼女は殺人容疑で逮捕されたという。陳述が凄かった。事件のあった午前三時に、時計がいっせいに止まった?頭を抱えたジェイクは旧友のマローンに弁護を依頼するが…。ユーモア・ミステリの名シリーズ、ここに開幕。
ミステリー・ファンには根強い人気のシャーロック・ホームズ。生誕一世紀を経た現代にも生き続けている。そのホームズが宿敵モリアーティ教授とともにライヘンバッハの滝で死んで、再登上するまでに四年間の“大空白時代”がある。その空白時代にホームズはいったいどこで何をしていたか?ゴルフ存亡の危機を察知したホームズは、敵の狡猾な罠と妨害を排除しながら、由緒ある高貴なスポーツ、ゴルフを救ったのである。
ニック・チャールズね、といってもぐり酒場のカウンターに近寄ってきたのは、昔なじみの若い娘だった。母と離婚してそれきりになっている発明家の父に会いたいので探してほしいという。私は顧問弁護士に頼むよう勧めたが、数日後その発明家の秘書が死体で見つかった。だが、依然として発明家の消息は知れない。ハードボイルド小説の始祖がおしどり探偵ニックとノラの活躍を都会小説風に描く異色作。40年ぶりの新訳決定版。
カクテルへのこだわりが殺人を招き、1杯のブランデーが秘密めいた物語を思い出させる。バーガンディやボルドーの豪華なワインの利き酒の裏で繰りひろげられる国際的陰謀に、5杯目のスコッチが明かす殺人のトリック…。エリン、コリア、ミルン、セイヤーズ、シスク、ブロックマン、ホールディングら13人の短篇の名手が描く、熟成した美酒をめぐる様々な犯罪の芳香。