著者 : 山本武男
孔子の空中曲芸孔子の空中曲芸
16世紀中国、明王朝末期、ときの皇帝、正徳帝は暗殺を恐れて、四人の影武者を引き連れて、すべての行動を行なっていた。「五札の君」と呼ばれる彼らは、帝とその完璧な複製であり、皇后や側近でさえ、見分けがつかないほどであった。ある日、帝の寵愛する天文学者が新星を発見する。学者によると、この星は国の破滅の前兆を示しているという。先帝に倣い、都を離れて凶星の消失を待つことにした帝は、南方へ狩猟の旅に出発する。帝ら五札の君を乗せた巨大な船には、三百人の宮女を娼婦にした色街が再現されており、道中「孔子の空中曲芸」なる奇妙な行為が行なわれていた。その行為を行なっているのは帝なのか、それとも、影武者なのか…?パリ在住中国人作家の著者が、明王朝滅亡の要因をつくったとされる第11代皇帝の人生を、虚実ないまぜて描いた艶笑譚。
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