著者 : 山本甲士
巨大ワニの化石が発見されて一躍全国区となった南海市。市民相談室主査・倉永晴之のイライラは募るばかり。上司は不祥事で逮捕されるわ、妻は交通事故を起こすわ、小さな肩に降りかかるトラブルはとどまるところを知らない。そんな折、市長に酒席で絡まれ、晴之は暴行騒動にまきこまれる。ああ、今日も悲しき地方公務員。
腑に落ちない出来事、ままならない日常。どんなにムカついても腹が立っても、「猫をかぶった状態」でやり過ごすのが、普通の大人であるーが、仮面が一度剥がれてしまったら!? 市役所に勤務する岩室とペット葬儀社で働く手原は、新興住宅街の隣人同士。小さな誤解からお互いに始めてしまった嫌がらせが、職場や家族までも巻き込んでエスカレート。後悔しながらも引くに引けず、どこまでもヒートアップする泥仕合に目が離せない!
人を刺す蚊にもなれないボウフラ、いや、ヤクザにもなれないボンクラ達がいる。何をしてもうまくいかない奴らがいる。カネの匂いを嗅ぎ回って、大阪の裏街をちょろちょろと動き回っている。仁義よりもツレよりも、大切なのは明日の我が身。金は欲しいが苦労はいらん。ここぞというときだって、腹などくくらんー。そんなあかん男たちが巻きおこす、セコくて情けない6つの事件を、優しく、ユーモラスに描いた連作短篇集の誕生。
主婦・友希江(大阪府八阪市在住・35歳)、病床の夫の左遷を謀る企業への復讐!もう我慢はしない。夫にも、会社にも、法にも頼らない。今までの鬱憤をひとつ残らず晴らしてやる!!負けるものか、負けてたまるか。これくらいのことで、誰が-。主婦たったひとりで大企業と全面戦争突入。
家庭でも職場でも今ひとつ冴えない野瀬真作は、準大手ゼネコン・樋田建設泉山営業所の次長だ。その真作へ思ってもみない大仕事が舞い込んで来た。泉山市の「コスモポリス計画」に樋田建設が取引先として指名されたのだ。真作は、市役所秘書室の桃原という男の言うまま、裏工作資金を会社から引きだしたが…。詐欺師に騙された窓際会社員の運命は!?気鋭・山本甲士が贈る、書き下ろし意欲作。