著者 : 山本甲士
あの、ひかりばあちゃんが帰ってきた!!しがない喫茶店を営む引っ込み思案の独身女性、社内クーデターによって会社を追われた元社長、倒産寸前の町工場を営む中年夫婦、ラーメン屋の経営に失敗して車上生活を送るバツイチ男ー。閉塞感を抱えながら過ごす彼らが、ひょんなことから出会った謎の老女、真崎ひかり。いつもにこにこ、優しい言葉をかけてくれる彼女の不思議な人脈と優しいうそによって、気づけば人生が大きく変わってゆく。前作『ひかりの魔女』で読者のハートをわしづかみにした、ひかりばあちゃんが再び巻き起こす幸せの物語。待望の書き下ろし、シリーズ第2弾!!
ウソを見破る術に長けたベテラン刑事・平間徹とコンビを組んだ新米刑事の目を通して、人間がウソをつくときに見せる仕草や言動を明らかにしていくショートストーリー集。エピソード全35話。瞳の収縮やまばたき、情動発汗など嘘をつく人に表れるクセや生理的反応をベテラン刑事が指南する。
ある日、作家の新居航生のもとに一通の書状が届いた。それは、タイムスリップを研究しているという八木俊太郎という人物からで、タイムスリップを体験してみないかという勧誘だった。いたずらかとも考えたが、実際に体験したことを雑誌に書くことにしてやってみることにした。航生は中学生のときにいじめの標的にされたことがあり、それをリセットしたいと思ったのだ。タイムスリップはどう行われるのか!?果たして過去は変えられるのか!?いつしか、航生は中二の文化祭の会場にいた…。そして、過去に向き合った主人公に訪れた心境の変化とはー。ミステリアスな長編小説。
ひがた町沿岸に突如現れた謎の大型海洋生物。メディアでも取り上げられ、見物客がひがた町を訪れるようになると、町長の大号令のもと、町おこし計画がスタートする。町役場の商工観光課に勤める出水英一は、ポスターやグッズの制作に奔走しイベントを企画するなど、着々とプロジェクトを進めていくが…。果たして町おこしは成功するのか、そして謎の海洋生物の正体とは!?有明海沿岸の小さな町で巻き起こった騒動を描く奇跡の物語。
地方在住の売れないフリーライター・白銀力也のもとにインタビュー取材の依頼が舞い込んだ。取材相手は、俳優業の傍ら飲食店経営を成功させた合馬邦人。奇しくも合馬は、これまで力也が一度も会ったことのない実の父親だった。取材の翌日、「会って謝らなければならない人が四人いる。その場に同行してほしい」と請われた力也は、初対面の実父と旅をすることに。一代で財を成した父親と貧乏ながらも愛情溢れる家庭を築く息子ー。人生において大事なものとは何かをハートフルに描いた親子の物語。
岩瀬修は文具会社の重役である。少年時代に夢中になった任侠映画の記憶は、やがて忘れ得ぬ人たちの思い出へとつながった。高倉健のファンだった修は、映画を観たいがために家業の立ち飲みコーナーを手伝うようになり、ヤクザと煙たがられていたおっちゃんと知り合う。同じ頃、従姉妹の弥生が越してきたのだが、心臓が弱く入院生活を送り始めた。その弥生に学校のプリントを届けに行くようにもなった。弥生は頭がよく本好きで、絵も抜群に上手かった。二人との出会いは、修の人生にかけがえのないものを刻んでいく。読み終えて、きっと温かな涙をもよおす傑作。
人員削減を行うことになった勤務先で、五十歳目前の芦溝良郎は、上司に騙され出向を受け入れる。紹介先の人材派遣会社では名前を登録されただけで、きつい仕事ばかりを紹介され長続きしない。家族からはこれまで通りにしてくれと言われ、スーツ姿で朝から出ていく。やがて心の病を自ら疑うようになった頃、以前の派遣社員の新たな姿に励まされ、公園で見かけたのがドングリだった。そこでの思いつきが、良郎の運命を大きく変えていく…。追いつめられた末に、本人も気づかなかった潜在能力を発揮し始め、逞しく変貌していく主人公を描いた感動の長編小説!
うちのばあちゃんって一体何者!?浪人生の真崎光一は、一緒に住み始めた祖母が、方々で先生と慕われることに驚く。どうやら昔から色々な人を幸せにしてきたらしいのだ。実際、家族の抱える諸問題もいつの間にか解決してしまった。光一は目撃する。ばあちゃんの作るびっくりするほど美味しい料理や「優しいうそ」の力がもたらした信じがたい奇跡をー。「こんな人がいてくれたら」ワンダフルでスペシャルなおばあちゃんが惹き起こす幸せの物語。
真野朱音は、勝裕と夫の連れ子・裕也との3人家族。朱音が南郷不二美を訪ねたのは、近所の公園に面した南郷宅の金網フェンスを覆ったイバラの棘で、子どもの怪我が続いたためだった。南郷は50代後半の一人暮らしで、愛犬はドーベルマン。イバラの剪定をお願いすると、けんもほろろに断られた。市役所が、公園にロープを張って注意喚起のプレートをかけてくれたが、その夜寿司屋から特上にぎり8人前が届く。翌日には、ケーブルテレビが契約の確認をしたいと訪ねてきた。どちらも身に覚えがなかった。やったのは南郷だー。同じ頃、いじめられている息子の裕也と話したところ、いじめられても平気な強い人間になる、という。朱音は、やられたらやり返せということを、身をもって裕也に教えようと決心した。
岩瀬修は六十三歳、今は文具会社の経営陣に収まっている。彼には、昔夢中になった任侠映画にまつわる忘れられない思い出があった。初めて観たのは中二のとき。たちまち高倉健の虜になった。映画を観たいがために家業の飲み屋を手伝うようになり、周囲からはヤクザと煙たがられている中間のおっちゃんと仲良くなる。そして、心臓が悪い従姉妹の弥生が、近くの県立病院に入院してきた。学校に通えない弥生のために、修はプリントなどを届けに行くようになった。弥生は、優秀で本好き、しかも絵を描くのが抜群に上手い。ケンカもしながら、親しくなっていく。任侠映画と、二人との出会いを経て、修は人生の荒波に漕ぎ出し始めた…。忘れ得ぬ人たちと映画への想いを綴った落涙必至の書き下ろしハートウォーム小説。
どこにでもありそうな地方都市の、よくある退屈なオフィスで、上司に怒鳴られ後輩から軽んじられる三十歳手前のOL。疲れ果てたある日、ふと立ち寄った不思議な理容店。女主人からマッサージを受けているうちに睡魔に襲われる。目覚めてみると鏡の中の自分は別人になっていた!現代の痛快な変身譚六話。
バッグ、サングラス、警察手帳、ハンドグリップ、腕時計。何かを拾うことで転回する彼女たちと彼らの運命の物語。巻き込まれ型小説の名手が描く、心にすとんと落ちる珠玉のハートウォーム・ストーリー。
日露戦争直後、前人未踏といわれ、また、決して登ってはいけない山と恐れられた北アルプス・劔岳。測量官・柴崎芳太郎は、山頂への三角点埋設の至上命令を受け、地元の案内人・長次郎とともに、器材の運搬、悪天候、地元の反感など、さまざまな困難と闘いながら、その頂に挑戦する。そして、設立間もない日本山岳会隊の影がー。我が国最高の撮影監督といわれる木村大作が自らメガホンをとった、畢生の映画化作品の原作にして、新田次郎山岳小説の白眉を、読みやすくした新版。
倉永晴之は南海市役所の市民相談室で働く公務員。現在の役職は主査、一般企業でいえば中間管理職の係長である。南海市は巨大ワニの化石が発見され、一躍全国区となるが、倉永の心は晴れない。市内の公園で本物のワニが泳いでいるという通報が入り現地確認に出かける。時間外の仕事を終え家に帰ると、今度は自家用車のタイヤが空気を抜かれている。そのうえ職場では上司の不祥事が発覚し、火の粉は倉永に降りかかってくる。度重なる不幸の連鎖から倉永はいかにして脱出するのか。「どろ」「かび」の作者が描いた巻き込まれ型小説の決定版。
即席ラーメンが発売されて、力道山が英雄で、月光仮面は茶の間に現われ、フラフープが大流行、そして空に向かって東京タワーが少しずつ背を伸ばしていた昭和三十三年。日々の暮らしはいまほど裕福ではなかったけれど、幸せはみんなのすぐ隣にあった。西岸良平原作の超ロングセラーコミック『三丁目の夕日』の世界を、『とげ』『かび』『どろ』三部作の作家、山本甲士が小説で再現。映画「ALWAYS三丁目の夕日」にもつながるノスタルジック&ハートウォーミング・ストーリー。暮れなずむ下町の夕空に、時代を超えてやさしく降り注ぐ十二篇の心なごむ流星たち。