著者 : 山根和郎
ポーランドでの商談に失敗し、失意のうちに帰国した英国人貿易商メイソンのもとに、ある朝、奇妙な客が訪れる。最近、重病で収容所から釈放された老科学者の回想録入手を依頼するものだった。脅しと法外な謝礼に目がくらんだメイソンは、冬のポーランドに飛ぶ。老教授の家でメイソンは意外な人物に出会う。同国出身で南米で活躍するノーベル賞受賞のコスカ神父だ…。メイソンとコスカに仕掛けられた悪辣な罠。猛吹雪の山中を逃げる2人に敵の魔手が迫る。
マーク・ブラッドフォード中佐率いるアメリカ海軍VXE-6は、勇躍南極大陸へとハーキュリーズC130の翼をつらねた。任務は越冬のための資材・糧食の供給と研究開発の支援。しかし、一寸先も見えない雪嵐をついて到着した彼らを待っていたのは、かつての平和な白い処女地ではなく、恐るべき野望を企む狂気の亡霊たちだった。その企てを阻み、美しい南極を守るべく、ブラッドフォードが空に舞う。壮大な極地に展開する会心の航空小説。
ベトナム帰還兵ジェイムズ・ウォーカーは、かつての上官で現在は米陸軍情報部大佐“J”の策謀で、メイン州の刑務所に収容されていた。奇襲突撃隊員としてベトコンに恐れられた彼は、あまりにも危険な存在だったからだ。ある日、刑務所にまで“J”の黒い牙が迫っているのを察知したウォーカーは、脱走して山岳地帯にたてこもる。包囲する地元警察。なんとしても彼を抹殺せんとする米陸軍。ウォーカーの“たった一人の戦争”が始まった!
冬のニューヨーク。アルコールにどっぷりと浸ったコラムニスト、ピート・キルハーニーは、法の裁きをたくみにかいくぐって社会に害悪をたれ流す人物たちを、“ヒット・リスト”というコラムで次々槍玉に挙げていた。ところが、“ヒット・リスト”に掲載された男たちが直視にたえない残虐な手口で一人、また一人と殺されていく。一躍マスコミの寵児となったキルハーニーだが、死刑執行人の血まみれの魔手は彼の上にも…。