著者 : 山田沙羅
故郷ジェイコブズビルに戻ってきた小学校教師のサリーは、事故で失明したおばとその幼い息子の面倒をみている。ある日、二度と会いたくなかった相手、エビニーザと再会した。6年前の春、10代だったサリーは憧れていた彼に、ドライブデートに連れていってほしいとお願いした。意外にもエビニーザはすんなり聞き入れてくれたが、30分後、サリーは彼の車の助手席から逃げ出すはめになったー年上の彼の強烈すぎる男性的魅力と強引さに恐れをなして。無垢な彼女にとって、あのことはいまだに深い心の傷となっていた。それなのに、エビニーザは何事もなかったかのように接近してきて…。
財産目当てで言い寄る男たちにうんざりした令嬢マーリンは、“もし1カ月間、身近に気づかれずに働き続けられたら、もう二度と結婚を強要しない”という賭を、父に願い出た。住み込みの職を見つけ、彼女は意気揚々と働き始めるが、雇い主の息子の銀行家キャメロンに早々に心を乱されてしまう。卑しい育ちの下品な女だと侮辱され、くびにすると脅されて、激しい口論の果て、昂った感情で一夜を共にしてしまったのだ。キャメロンには裕福な婚約者がいる。もしや私の正体を知り、打算で乗り換えようとしているの?傷ついたマーリンは、想いを秘めたまま、キャメロンの前から姿を消すが…。
『悲しい約束』母を事故で亡くし、失意のどん底にいた看護師デイナ。心機一転するために退職した彼女は、一時的に失明した大富豪ギャノンの看護を住み込みで引き受ける。彼は獅子のように気高く傲慢な反面、どこか憎めない男性だ。扱いづらさに手こずりつつも、気づけばデイナは恋をしていた。そんなある日、ギャノンの主治医から非情な診断が下される。彼の視力が戻る見込みは、ゼロに近いというのだ!打ちひしがれたギャノンは自暴自棄ぎみにデイナにすがった。僕と結婚してくれー愛は誓えないが、そばにいてほしい、と…。『命の芽吹くパリで』妹と母を相次いで失ったイモジェンは、さらなる悲劇に襲われる。不治の病で亡くなった母と同じ症状が出始めたのだ。死を覚悟した彼女は残りの人生を楽しもうと憧れのパリへ向かう。そこで知人を介して上流階級のパーティに潜入して、大富豪ティエリーと出逢い、燃えるような一夜を過ごした。彼と満ち足りた2週間を過ごしたあとで彼女はパリを去るが、母国へ帰る間際、予期せぬ妊娠に気づいて動揺する。なんという運命のいたずら。余命わずかな私が新たな命を授かるなんて!悩んだ末、ティエリーに打ち明けるが…。
「あの夜のことは、なかったことにしよう」秘書として働き始めたペイジに、社長のジェイリッドが告げた。先日の大停電の夜、エレベーターに閉じこめられたペイジは、見知らぬ男性に慰められるうち、一線を越えてしまった。自分らしからぬ行動を恥じ、逃げるようにその場を去ったが、新しいボスのジェイリッドこそ、あのときの男性だったのだ!ボスの言うとおり、あのすてきな思い出はもう忘れてしまおう…。だが4カ月後、ペイジは彼の子供を妊娠していることに気づく。身の縮む思いで、正直にジェイリッドに打ち明けたーまさか、金欲しさに彼を罠にはめたと疑われるとも知らず。
体系に劣等感を抱くハリィは四姉妹の長女だが、いまだ独身。すると誕生日に、既婚の妹たちから旅行をプレゼントされた。男性が大勢いる場所に行けば、結婚相手が見つかると言われて。しぶしぶ出発した彼女は、滞在先で出逢った実業家ジェイクに一目で恋するが、そばにはグラマーなブロンド美女がいて、彼に熱い抱擁をして…(『奇跡の花嫁』)。ラプデイは横暴な雇い主の家に住み込み、秘書とは名ばかりのメイドのような仕事をしている。だが花瓶を割ったと濡れ衣を着せられてくびになり、途方に暮れた。頼れる人などいないなか、医師のアンドリューが診療所の受付係として雇ってくれることに。彼女はアンドリューへの想いを募らせるが、なぜか彼はよそよそしくて…(『ドクターの花嫁』)。大学院生のハンナは郊外で生後半年の姪を育てながら、つましく暮らしている。ある日、家の近くで車の事故が起き、怪我人のドミニクを助けたハンナは、一目で恋におちてしまった。ところが後日、偶然目にした経済誌にドミニクの写真を見つけて驚くーなんと彼はフランスの大富豪で、ハンナには縁のない世界に住む人だった!(『天使のとりこ』)。
まさか、知らないうちに双子の赤ちゃんの母親になっていたなんて!不妊治療クリニックに保存していたビッキーの卵子を、医師が勝手に使用したことがわかり、彼女は怒りに身を震わせた。赤ちゃんたちの父親は、見ず知らずのイギリス貴族だという。ひとたび怒りが静まると、やがてビッキーの中で母性があふれだした。子供たちに会いたい。そして、できればこの手で育てたい。ところが冷酷な貴族ジェイムズは、交渉はおろか面会すら拒んだ。このままでは、永遠に我が子を抱くことはできない…。覚悟を決めたビッキーは、ジェイムズと子供たちのもとへ旅立ったー彼女自身ではなく、弁護士の“ミズ・ラスコー”になりすまして。
広報部で働くモリーはこの4年、上司のジャックに片思いをしていたが、ただの部下としか見られず、切ない気持ちを胸の奥に隠してきた。頭では密かに、彼の花嫁になった姿を思い描きながら…。会社でパーティが開かれたある日のこと、モリーは憧れのジャックからダンスに誘われ、うっとりしながら彼に身を預けた。そのとき、周囲で突然起きた喧嘩に巻きこまれ、モリーは転んで頭を強く打ってしまう。大事をとってジャックの家に運ばれるが、目覚めたとき、彼女は信じきっていたー自分はジャックの妻なのだ、と。
敏腕弁護士ホークは、シリの父親の共同経営者だ。少女の頃から、シリはハンサムなホークに夢中だった。だがホークはシリを子ども扱いし、想いを隠せない彼女を叱責する。一度など、ホークの髪に思わず指を絡めた彼女に激しく口づけ、男を挑発したらどんな目に遭うか思い知れ、と脅した。あるとき、シリはホークの出張に同行することになる。ふたりの距離を縮められるかもしれないと期待するシリに、ホークはまたも残酷な仕打ちで応えるー「子守りなんぞごめんだ」そう言い捨てると、かつての婚約者とディナーに出かけ、朝まで帰らなかったのだ。
億万長者の娘マーリンは身分を隠し、自立できるように、屋敷の住み込みアシスタントとして働き始めた。充実した日々を送っていたが、ひとつだけ悩みがある。雇い主の息子で、ハンサムだが冷血漢なキャメロンの存在だ。彼はマーリンのことを貧乏で品のない女と決めつけて侮辱し、顔を合わせるたびに、首にすると脅すのだ。ある日、風呂上がりにくつろいでいたマーリンは、あやまって寝室のドアを開けたキャメロンに裸を見られてしまう。すると彼は、「ぼくを挑発する小悪魔め!」と罵り始めた。