著者 : 山田深夜
自衛官だった伯父に憧れ、陸上自衛隊に入隊した道畑直也。だが入隊後、自衛隊の現実に幻滅し、在隊二年で退職を決めてしまう。そんな中、除隊を目前に控えた3月11日、あの東日本大震災が起きる。未曾有の大災害を目の当たりにしながら、何も出来ずに除隊した後ろめたさを抱える直也は、かつて伯父と交流のあった風間という男を訪ね、バイクで北海道へと向かうー。あの震災で、災害派遣に行けなかった元自衛官の葛藤と成長を描く長編ロードノベル。
恋に破れ故郷を捨てる若者、不意に己の過去を突きつけられた男、信念を貫き職を辞した男、記憶をなくし自ら素性を探る男、けして冒険せず堅実に生きようとする青年ー。人は誰かと出会い、その想いに触れ、新たな境地へと誘われる。そこには、普段とは少しだけ違って見える景色が…。まだ見ぬ場所へと続く“道”に踏み出そうとする五人の男たちの物語。
偶然の再会、運命のいたずら、様々な因縁、未来に向けた再起ー。旅とバイクを通して、不器用ながらも心優しき者たちのふれあいと人生の喜怒哀楽を情感たっぷりに描く珠玉の短編集。文庫化に際し、単行本未収録だった7篇を追加収載。バイク雑誌「アウトライダー」連載時から好評を博し、読む者を旅へと誘うツーリング小説の集大成。
バス整備士の江井徹は、横須賀の地下壕で拾った旧日本軍の戦闘機の破片が高値で落札され、俄然“お宝探し”に興味を持つ。しかし、江井は知らず危険に近づいてしまっていた。米軍・自衛隊の管理区域周辺をうろつく江井を、正体不明の連中が襲い始める。一方、首相訪朝に絡む秘密任務など、数奇の警察官人生を送ってきた警視庁公安部の石渡秋彦は、江井の行動確認を命じられる。横須賀出身の石渡も、この土地特有の“捻くれ者”の一人であったー。
ブロークンアローとは重大な核兵器事故のことを指す米軍の符牒である。ベトナム戦争時に、事故に伴って横須賀に核が運び込まれ、今も米軍・自衛隊で核を共有しているという驚くべき話を石渡は聞く。その秘密保持に携わる特殊機関が存在することも。命を狙われ続ける江井に、彼を守ろうとする勢力も現れ、まさに死力を尽くした戦いが勃発。特異な歴史風土を持つ横須賀に蠢く、驚愕の機密と野望とは?スリリングかつ痛快な大スペクタクル活劇!
ホームからは見えない電車の下半分。ここには人の命を預かる車両整備に誇りと夢と人生をかける男たちのドラマがあった。ひきこもりの青年が出会った、一筋縄ではいかない油まみれの武骨な面々。様々な過去を背負いつつ、ひたむきに仕事に打ち込む職人たちを前に、青年は少しずつ殻をはがしていく。そんな彼らを、大規模な脱線事故が襲う。消えゆく旧型車両と運命をともにする男たちのたぎるほどに熱い生き様を描く感動長編。