著者 : 岡田充博
唐代小説「板橋三娘子」考唐代小説「板橋三娘子」考
河南省の板橋店で小さな宿屋を営む女将の三娘子は客に焼餅を食べさせ驢馬に変える妖術を使っていた。それを知った旅人が女将を騙し驢馬に変えて酷使するという唐代の怪異譚「板橋三娘子」について、その原話から成立の背景、伝播と変遷の実態を、広範な資料を渉猟し総合的に考察。原話の中国への伝来と翻案による怪異譚としての成立の背景を、関連資料の収集、舞台となった土地の歴史、物語と当時の風俗との関わり、人形を用いる幻術の特異性、さらに小説としての完成度など多面的に考察するとともに、中国の変身術が古代の自然観にもとづく「気」一元論に依拠することを明らかにする。
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