著者 : 岡田睦
明日なき身明日なき身
離婚を繰り返し、生活に困窮した作家、生活保護と年金で生きる老人の日常の壮絶。高齢化社会を迎えた今、貧困のなかで私小説作家は、いかに生きるべきか…。下流老人の世界を赤裸々に描きつつも、不思議に、悲愴感は感じられず自分勝手を貫く、二十一世紀の老人文学。
舷燈舷燈
海軍予備学生に志願し従軍した牧野の青春は敗戦とともに打ち砕かれた。心は萎えていたー。身内に暗い苛立ちを棲みつかせ、世間に背を向け頑なに生きる男。短気で身勝手で、壮烈な暴力をふるう夫に戸惑い反撥しながらも、つき従う妻。典型的な夫婦像を描く作品の底に、亡き戦友への鎮魂の情を潜め、根源的な哀しみを鋭く突きつける傑作長篇。
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