著者 : 島原里香
サマートン伯爵は冷酷な父に15歳のときに勘当されて以来、父を見返すことだけを考え、父を越える富を築くために事業に没頭してきた。そんな生い立ちゆえ、恋愛にも結婚にも興味がなかったが、親友の妻の従妹である公爵令嬢のエマ・キャヴェンシャムに出会い、天真爛漫で美しい彼女を守りたいという気持ちにかられる。本好きで福祉に興味を持つエマは、尊敬する学者の本を手に入れるため、治安の悪い地区にある古書店に向かっていたところ、馬車をサマートンに止められる。心配されているのは分かっても、落胆するエマ。しかし数日後、サマートンにめあての本を差し出されたのだ。そして誰にも理解されることのなかったエマの想いに、彼は共感を示してくれて…。きらめくような恋の瞬間を切り取る傑作リージェクシー・ロマンス。
グレンガスク侯爵ラナルフは、ハイランド地方最大勢力の氏族長として世の趨勢に抗い、誇り高く生きようとしていた。ある日、華やかなロンドンの社交界に憧れるラナルフの妹が家出をしてしまう。ラナルフはロンドンで妹が身を寄せた伯爵家に乗り込み、連れ戻そうとする。ところが、伯爵令嬢シャーロットが、ラナルフの強引な態度を毅然とたしなめ、妹のロンドン滞在を彼に認めさせた。ラナルフは、これまでの自分の価値観を根底から揺るがす、聡明で美しいシャーロットに心を奪われてしまう。また一方でシャーロットも、2週間の期限付きでラナルフと毎日をともにするうちに、心身たくましい彼の、気高き情熱と信念に魅了されていく。惹かれるはずがないと思っていた相手と、恋に落ちたふたり。そんな中、ラナルフの命を狙う者が現れて…。
社交界デビューのためロンドンに旅立とうとしていたアンジェリンは、兄の迎えを待つ間、男性に絡まれて困っているところを、一人の紳士に救われる。お礼を言う間もなく立ち去ったその紳士に、彼女は一瞬で恋におちた。数日後、待ちに待った初めての舞踏会で、アンジェリンはダンスの相手を紹介される。なんと、あのときの紳士、伯爵エドワードだった!運命の再会に、喜びで胸をいっぱいにして彼に話しかけるアンジェリン。ところが、礼儀正しく控え目で堅物なエドワードにとって、明るく華やかな彼女は絶対結婚したくないタイプだった。自分とはまるで昼と夜のようにかけ離れていて、惹かれるはずはない女性。そう思いながらもなぜか、アンジェリンのことが頭から離れなくなったエドワードは…。前作『あやまちの恋に出逢って』未収録シーンも公開!
ロンドン社交界きっての放蕩者と噂されるトレシャム公爵ジョスリンは、決闘のさなか、見知らぬ女性が大声をあげたせいで足に怪我を負う。邪魔をしたのはジェーンと名乗る粗末な身なりに女。しかし、その内に秘めた類まれな美しさをひと目で見抜いたジョスリンは、回復するまでの3週間、広大な屋敷のなかで彼女を雇うことにする。深い愛情を湛え、公爵である自分にも率直な意見を言うジェーンは新鮮で小気味よく二人きりで過ごすひそやかな時間は日に日に増えていった。互いに抱える孤独と気高い心にふれて、いつしか自分の心を打ち明けられる唯一の存在となった二人。やがて約束の3週間が近づき、彼女を手離したくないジョスリンはある決断を下す。ところがその直後、ジェーンが彼に告げられなかったひとつの“真実”が、ついに明るみに出てしまい…。