著者 : 嶽本野ばら
嶽本野ばらが夭折の天才画家と紡ぐ恋愛小説。 デビュー以降、“乙女”を描き続けてきた嶽本野ばらの最新作は、「月刊IKKI」という青年マンガ誌に連載されたため、男性にも親しみやすい内容となっている。優柔不断な僕と、記憶をなくした彼女が織りなす恋愛風景。それを、夭折した天才画家・田仲容子の遺作を一章ごとのモチーフとして、親交の深かった著者が綴った恋愛小説全6章。巻頭では目次として、モチーフとなった作品をギャラリー風に紹介し、カラーで楽しめる。さらに、田仲氏をめぐる人々の不思議な真実を書き下ろした26ページに及ぶ「あとがき」も収録。「本編」と「あとがき」、この両者を併せて、初めてこの作品は完結する。
平成の耽美派人気作家が描く、戦慄の美肌ホラー小説! げに恐ろしきは鱗の病ー美貌の娘・楼子(たかこ)を初潮とともに襲った「鱗病」。その忌まわしき病を伝える龍鳥(たつお)家の秘密とは? 自慢の肌を冒す病の恐怖に脅える楼子は、やがて凄惨な治療法を発見するが…。澁澤龍彦に顕現した「魔道継承にこころざす異端の魂が絶えることはないのだ、と実証するかのよう」(本書解説より)と評された、平成の耽美派・嶽本野ばらの異色の美肌ホラー、待望の文庫版。
私を衝き動かしてきた、私の生きる原動力となってきたものを、今となっては正直に告白しなければなりますまい。それは神、つまりは天主への憎しみ。この世界を創造し、摂理を生み出した全能の天主なるものが事実存在するならば、私はそのものに復讐を企てる為だけに心血を注いできたのです。神をも畏れぬ衝撃の解釈で、日本キリシタン史最大の悲劇を描いた、第16回三島由紀夫賞候補作家の書き下ろし最新作。
作家・吉本ばななさんが涙した、喪われし少女たちの恋の物語。 あまりに切なくて、気持ちが引き裂かれそうになる、そんな恋愛小説ができました。誰もが一度は、こんな恋をしたいと思ったはずなのです。でも誰もが、きっとこんなに純粋ではいられなかったのです。この本は、喪われた少女性を愛してやまない一人の作家が、一行一行を懸命につむいだ最高の恋物語を収めています。本書を読んだ吉本ばななさんは、こんなコメントを下さいました。「この小説は私を泣かせた。文がずばぬけてうまいから? あの時代のたまらなかった気持ちを思い起こさせたから? いや、それだけではない。ここに出てくる主人公たちの高潔な人格が、この汚れた時代を生きていく、ただそれだけで涙を誘うのだ。野ばらちゃん、最高!」どうかご一読下さい。