著者 : 常藤可子
危険な妹危険な妹
ギリシアを旅行中、運悪くパスポートを盗まれてしまったクロエは、ホテルの計らいで用意されたヘリコプターでアテネへ向かった。安心したのもつかのま、暗闇のなか降ろされたのはアテネではなく、冷血な大富豪レオン・ステファニデスー彼女の夫の屋敷だった。別居中の妻を連れ戻すべく、すべて彼が仕組んだのだ!2年前、クロエはレオンとの子を宿し、幸せの絶頂にいた。ところが、そんな様子に嫉妬したレオンの異母妹が、身重のクロエを階段から突き落とし、お腹の子は不幸にも…。あのとき妻の訴えを信じず妹を守った夫が今、非情に告げた。「ぼくの子を産むんだ。わざと流産した子の代わりに」
銀の小箱銀の小箱
ローラがトムと出会ったのは、ロンドンの雑踏に立つ、古ぼけた骨董品店の前だった。ウインドーの中の、銀の小箱に見とれていた彼女に、トムが声をかけたのだ。以来、共通の友人を通して顔を合わせるたび、トムが向けてくるまなざしに、ローラの胸は甘く高鳴る。だが彼は、お金と時間と女性をもてあました15歳も年上の放蕩者。長年別居している妻がいるのにフランス人の美しい恋人を連れている。周りが囁くそんな噂に苦しんだローラは、彼への想いを断とうとした。それなのに、トムはあの小箱を彼女に贈り、激しく唇を奪った。噂を盾にこの愛を拒むことなどできないと、刻印するかのように。
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