著者 : 平中悠一
シティポップが生まれた80年代。同時代の日本の「文学」は何をしていたのだろう?世界のファンのSNSが甦らせたポップ音楽の背後には、同じ時代状況から生まれ、同様に日本オリジナルの発展を遂げた、都会文学の世界が隠されていた。それは現実の都市生活をベースにしながらも、フィクションのヴェールを1枚かけて理想化された、作家たちの“夢”の中の「街」、「どこにもない」場所を架構する文学だった。本書に収めた“9つの物語”は「シティポップの時代」を並走した、そんな日本の忘れられた都会小説。そこには今も優しい風が吹いている。
文学は情報ではないー。谷崎最大の長編「細雪」。しかしその評価は未だ定まってはいない。本書は従来のナラトロジーを更新するノン・コミュニケーション理論を導入することで、日本語による三人称小説の“客観的に論証可能な「語り」読解”の方法論を提示し、プルースト、V・ウルフらに比肩する同時代の世界文学としてその価値を標定する。
さよなら、パリ。ほんとうに愛したただひとりの女…。2014年ノーベル文学賞に輝く“記憶の芸術家”パトリック・モディアノ、魂の叫び!ミステリ作家の「僕」が訪れた20年ぶりの故郷・パリに、封印された過去。息詰まる暑さの街に“亡霊たち”とのデッドヒートが今はじまるー。
恋人より仲良しの僕とレイコはただの友達同士。大好きだから自由な二人でいたいと願う僕は、彼女のひたむきさに戸惑い、揺れ動く。試験休みの四日間。神戸の街を雨のように通り過ぎた十七歳の恋を描く永遠のティーンエイジ・ノベル。
恋人より仲良しの僕とレイコは、ただの友達同志。大好きだから自由な二人でいたいと願う僕は、彼女のひたむきさに戸惑い、揺れ動く。試験休みの4日間。神戸の街を雨のように通り過ぎた17歳の恋を描く、永遠のティーンエイジ・ノベル。文芸賞受賞作。