著者 : 戸田義長
虹の涯虹の涯
「俺は藤田幽谷の孫、東湖の子だ。攘夷に生きることが義務なのだ。」 父・東湖の死の真相、密室殺人の罠、瀕死の兵を襲う〈化人〉 幕末の水戸藩士、天狗党の首領格・藤田小四郎の推理と生涯 『恋牡丹』『雪旅籠』でファンの心を掴んだ新鋭が贈る最新作 筑波山で蹶起した天狗党の首領格・藤田小四郎を主人公に描く歴史ミステリ。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。過酷な行軍だったとされる天狗党西上の際に、戦の晩に現れる殺人鬼〈化人〉の謎など、全四編。『恋牡丹』『雪旅籠』でファンを唸らせた、戸田義長最新作。 ■目次 「天地揺らぐ」 「蔵の中」 「分かれ道」 「幾山河」 後書き
恋牡丹恋牡丹
北町奉行所に勤める戸田惣左衛門は、若き日より「八丁堀の鷹」とも称されるやり手の同心である。長屋の一室で扼殺されていたお貞。夕餉を準備中の凶行で、鍋には豆腐が煮えていた。長屋の皆は桜見物に出かけており……「花狂い」。吉原で急に用心棒を頼まれた惣左衞門の目の前で、見世の主が殺害された。衝立と惣左衞門によってある種の密室だったはずなのだが……「願い笹」など、惣左衛門とその息子・清之介を主人公に描く四編を収録する。『屍人荘の殺人』と競った、滋味溢れる時代ミステリ。
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