著者 : 打海文三
編集者の田中聡とライターのさとうゆうは幼なじみで、いまは東京に住んでいる。聡がファンだった小説家・小川満里花と仕事をきっかけに交流が生まれ、三人と満里花の飼い犬・イエケとの、ささやかな幸せに満ちた日々が続く。そんななか、イエケがゆうを咬んで大怪我をさせた。後日、満里花はイエケを殺した、とふたりに告げるー。一年ほど後、東京でSARSが大流行、都内は混沌とする。SARS禍の陰には一頭の犬の存在が見え隠れして…。背徳、官能、危機、恋ーすべてを内に秘めて物語は進む。作家・打海文三が遺した傑作。
両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るため、手段を選ばず生きていくことを選択したーー。.
月田桜子、月田椿子。双子の姉妹は、戦争を継続させているシステムを破壊するため、女性だけのマフィア、パンプキン・ガールズをつくり世界に混沌に身を投じたーー。
裏切り、嫉妬、権力への欲望。男は、粛清の名のもとに血を流し、女は、愛のために決断をする……各紙誌で絶賛され、第5回大藪春彦賞を受賞した、打海文三が真価を発揮した最高傑作!
19歳の姫子が恋した美しい青年・翼。翼を追うアーバン・リサーチの探偵・佐竹。翼の痕跡に、連続猟奇殺人事件が絡む。耳が削がれた死体は、何を語るのか?姫子を守ろうとするアーバン・リサーチの面々。翼の心の闇に踏み込む姫子…。
姫子は十三歳。登校拒否の中学二年生。首吊り自殺のために入った山奥で偶然出会った男・阪本が殺人容疑者と知ったことから、事件に巻き込まれる。というより、彼に惚れてしまったのだ。ライバルは多い。公園に全裸死体で放置された女デザイナー、六十歳で元結婚詐欺師の探偵・ウネ子、とくにお婆は好敵手。恋も事件もねじれ、もつれ、姫子にも魔手が…。絶品の語り口調。ミステリーの枠を超えた傑作。
桜の花散る春、ひどく消耗なやりとりをへて離婚したばかりの26歳の服部正幸の前に、ふたりの女姓、17歳年上の叔母茜をふくめると3人の魅力的な女性が次々にあらわれる。はしゃぎすぎてはだめよ。女性がその気になったら、あなたなんかイチコロなんだから。茜の言葉は奇しくも不吉な予言となった。正幸のベランダからの転落死。それが、連綿と続く殺人事件の、ある“春の修羅”のはじまりだった-。全編にきわだつエロティシズム、サスペンスフルでシュールな味わい。打海ミステリの新境地。
ミステリ通たちを驚喜させた傑作書下し長篇。探偵小説を超えた探偵小説。初恋の相手は殺人容疑者。死体の脇で発芽したアブラナ科の子葉は無実の鍵なのか。13歳の姫子は追う。絡むウネ子60歳。男は逃げる。恋は切ない。愛はもつれ残酷だ。