著者 : 斉藤詠一
“ifの歴史”-あり得たかもしれない歴史を研究するゼミ「有賀研」に進級した南武大学三年の坂堂雄基。さっそく曾祖父が遺した大量の海軍資料に、准教授の有賀と院生の小春が目をつける。書斎の残る本家を訪ねると高齢の曾祖母が「戦地から持ち帰った大事なもの、取ってあるかしら…」と意味深な発言。謎の島の記述がある戦時中の日記も見つかり、「持ち帰ったもの」の正体を追うことに。やがて思いもかけぬ坂堂家の「秘密」が明らかとなり、さらに事態は人類史や国際社会に繋がる…。
焼け野原から復興へーオリンピックを目前に急ピッチで東京の整備が進む中、日銀の現金輸送担当者が線路に転落死を遂げた。事故として処理されるはずだったその死を合図に、二度と交わるはずのない人生が再び交差する。-止めなければ。この列車を。江戸川乱歩賞作家が時代の闇に挑む、ノンストップ・サスペンス!
クメールの遺物、持ち出してはならぬー。「預けたいものがある」兼業カメラマンの平山北斗が、恩師・樫野教授からの電話を受けて数日後、教授は不審死を遂げた。友人の栗原、教授の娘・夕子と遺品整理をした北斗は、謎の数字が書かれたメッセージと、150年前にフランス人探検家のL・ドラポルトが所持していた骸骨の人形をみつける。これらは一体何を意味するのか?真実を追う北斗たちを待ち受けていたのは、思いもよらない“秘宝”の争奪戦だった!乱歩賞作家がおくる“超ド級”トレジャーハント・ミステリー!
二〇一八年、遊覧飛行中のチャーター機が突如システムダウンを起こし、南極へ不時着してしまう。ツアーコンダクターの望月拓海と乗客のランディ・ベイカーは物資を求め、今は使用されていない「到達不能極」基地を目指す。一九四五年、ペナン島の日本海軍基地。訓練生の星野信之は、ドイツから来た博士とその娘・ロッテを、南極にあるナチス・ドイツの秘密基地へと送り届ける任務を言い渡される。現在と過去、二つの物語が交錯するとき、極寒の地に隠された“災厄”と“秘密”が目を覚ます!第64回江戸川乱歩賞受賞作。