著者 : 斎藤恵美
20世紀初頭、ロシア帝国華やかなりし頃。若くして未亡人となったタマラは、名付け親の公爵婦人の招きに応じ、真冬のペテルスブルグへと旅立った。運命の糸に手操り寄せられたかのように-。一瞬の出会いで彼女の心に消えることのない炎を燃え立たせた男、グリツコとの再会が待っていたのだ。専横で気性の激しいロシアの大富豪のグリツコに反発を覚えながら、いつしかタマラは抑えがたく激しい愛の思いに捕らわれていた。華麗なロシア帝国を舞台に繰り広げられるヒストリカル・ロマンス。
ソシアルワーカーのシンディは目の不自由な人が信号を渡るのを助けようと手を差し伸べた。ところが、彼はシカゴ市警の刑事でサングラスをかけて立っていたのは仕事のためだった。ああ、こんなセクシーな人が刑事なんて!瞳を輝かせる男には心ひかれたがシンディには、人に言いたくない過去があった。
キャリーは腕ききの株式仲買人。離婚後、自立して、着々とキャリアを築いている。ところが、ある日、おかしな客がやってきた。将来性のない株を大事に持ったその男は、黒い髪にブルーの瞳を光らせてキャリーのアドバイスを待っている。こういう時は、納得のいく資料を見せるのが一番だ。ところが、あいにく、目の前のコンピュータは故障中。隣室のスクリーンを見て、戻ってみると、男は、コンピュータを分解し始めているではないか。キャリーは、ペースをくずされっ放しだった。
ビリーは慣れない馬の扱いにとまどっていた。ストレスと運動不足の解消にポロスクールに入学したのだがポロゲームどころか、まだ馬に乗れないのだ。向こうではインストラクターが笑いをこらえている。きっと私のことを不器用な女だと思っているのだろう。と、見かねたひとりのインストラクターが近づいてきた。「大丈夫ですか」手を貸そうとした彼の青い瞳に見つめられた瞬間ビリーは落馬し、彼の厚い胸に抱きかかえられていた。