著者 : 新島進
かたや美しきヴォーカロイド、かたや怖るべき透明人間ストーカー。東欧を舞台に、不在の女性への狂恋が奔騰するヴェルヌの最も21世紀的小説二篇。
老婆がその長い沈黙を破ったとき一族の知られざる秘密が明かされる-南イタリア、灼熱の太陽のもと、呪われた宿命に抗って果敢に生きるスコルタ家5世代にわたる波瀾の物語。ゴンクール賞受賞。ジャン・ジオノ賞審査員賞も同時受賞の話題作。
四川省成都。莫は留学先のパリで、夢を解釈するフロイト派精神分析学を学び、故国に戻ったばかりの、心の医師。彼は、大学時代片想いをしていて、今は政治犯として投獄されている女性・胡〓(フーツアン)を釈放してもらうため、法曹界の影の実力者・狄判事のもとを訪れる。賄賂で解決しようとする莫に、判事はある条件に適う女性を用意できたなら、胡〓(フーツアン)を放免すると告げる。だが、広大な国土を誇る中国のこと。莫は終わることのない夢分析の旅に出る羽目に…。フランス在住中国人の著者が、自らの分身とも言うべき精神分析医の旅路を、瑞々しい筆致で描いた長篇第二作。フェミナ賞受賞。
医者を親に持つ僕と羅は、反革命分子の子として山奥で再教育を受けることになった。厳しい労働にもめげず、僕らは仕立屋の美しい娘に恋をした。僕らは禁書のバルザックを手に入れ、その小説世界に夢中になった。親友の羅はバルザックの語る壮大な冒険を、哀しい恋の物語を娘に読み聞かせ、ふたりは親密になっていくが…。文化大革命の嵐が吹き荒れる中国を舞台に、在仏中国人作家がみずからの体験をもとに綴る青春小説。
文化大改革の嵐が吹き荒れる1971年、医者を親に持つ僕と羅は、反革命分子の子として再教育のため山奥深くに送りこまれた。僕は17歳、羅は18歳だった。厳しい労働に明け暮れるなか、僕らは村に唯一ある仕立屋の美しい娘、小裁縫に恋をした。あるとき僕らは、いまや禁書となっている西欧の小説を友人が隠し持っていることを知る。壮大な愛や冒険の物語に僕らはすっかり夢中になり、これに刺激を受けた羅は、小裁縫にバルザックの小説を語り聞かせる。二人は次第に親密になっていくが、本によって自分たちの運命が大きく変わってしまうとは知らなかった…。在仏中国人作家が自らの青年時代の体験をもとに綴り、世界30カ国で翻訳された話題作。