小説むすび | 著者 : 日向ひらり

著者 : 日向ひらり

壁の花は子爵の許嫁壁の花は子爵の許嫁

わたしだけが知らなかったーー 父と子爵の、都合のいい密約を。 母亡きあと、ネルはずっと父親とおばに疎まれてきた。 寄宿学校から帰省するたびにいじめられ、慰めは、大好きな乗馬だけ。 ある日、ガブリエル・ハンターという子爵が父を訪ねてきた。 レディらしからぬ振る舞いで乗馬の腕を披露したネルは、 案の定、おばにこっぴどく叱られた。子爵の目の前で。 ネルは初めておばに楯突き、家を飛び出すと、寄宿学校に逃げ帰った。 4年後。成人したネルは、父からの手紙で衝撃の事実を知らされる。 なんと彼女は婚約しているというのだーーかの子爵、ハンター卿と。 まだ17歳だったあの日、ハンサムだが暗い影を落とす子爵の瞳に覚えた 胸のざわめきが、ふいにネルの全身によみがえった。 『公爵の小さな妖精』で華やかなデビューを飾ったララ・テンプル。次にお届けするのは、内気な令嬢と心に傷を持つ年上子爵の、強引な婚約劇から始まるドラマティックなロマンス。『みにくいアヒルの子』や『あしながおじさん』を彷彿とさせる、名作の予感です。

世にも美しき伯爵と世にも美しき伯爵と

目と目が合った瞬間に、 この世の全てが消え失せた。 いったいどうして老伯爵は、天涯孤独の貧しい私に全財産を譲ったの? しかも相続の条件は、年内に結婚することだなんて……。 「うまくやったものだな、ミス・ワイルディング」 新伯爵ベインに蔑むように見据えられ、メアリは体じゅうが熱くなった。 つまり、読み上げられた遺言書の内容は聞き間違いではないのだ。 あまりの出来事に呆然とするメアリにベインは愛なき結婚を迫り、 この世のものとは思えないほど甘美で情熱的なキスをした。 「さっさと私を殺せば、あなたの問題はすべて解決するのに」 胸の高鳴りを懸命に押し隠すメアリに、ベインは冷たく告げた。 「その方法についても、考えなかったわけじゃない」 愛に背を向けた伯爵と、愛を夢見る貧しい娘。出会うはずもなかった正反対の二人がなす術もなく惹かれあうとき、過酷な運命が幕を開けて……。リージェンシーの名手と名高い英国の人気作家が精緻に描く、ミステリアスで情熱的な珠玉のシンデレラ・ストーリー。

不埒な子爵の初恋不埒な子爵の初恋

惨めな娘は途方に暮れたーー 彼の瞳がまぶしすぎて。 ロンドン社交界の息苦しさに耐えかねたハリエットが 早朝の公園で秘密の朝駆けを楽しんでいると、 不意に暴れ馬が現れて乗り手の男性が振り落とされた。 泥酔した様子のその男性は、心配してかがみ込んだハリエットを あろうことか娼婦と誤解し、巧みなキスとともに組み敷いた。 ハリエットは驚いて逃げ去ったが、舞踏会の夜に彼と再会する。 男性の正体は麗しの子爵、ベコンソール卿ジャック・ヘスケスだった。 彼にダンスを申し込まれ、友人たちに紹介されて戸惑いながらも、 生まれて初めて人目に留まったハリエットは喜びを覚えていた。 ジャックが彼女を賭の対象にしているなどとは夢にも思わずに。 超人気作家A・バロウズの3連作、米読者絶賛の〈神々の悪戯〉シリーズ第1話をお届けします! 愛に臆病なふたりが織りなす不器用な恋の行く末は……? 気になる脇役、無慈悲な“ゼウス”の恋物語が描かれる第2話は豪華記念号です。

伯爵と記憶をなくした娘伯爵と記憶をなくした娘

名前も身元も定かでない娘が、 伯爵の心に留まるはずもなく……。 嵐が迫るなか、ずぶ濡れの娘は夜道を当てもなくさまよっていた。 寒さと疲れで事切れる寸前、通りがかりの伯爵ジョナサンに救われ、 彼女は近くの牧師館へ運ばれたが、自分の名前も出自もわからなかった。 牧師夫妻は彼女を仮に“ベス”と呼び、親戚として共に暮らし始めるが、 一部の上流階級からは怪しまれ、冷遇されてしまう。 ああ、わたしを助けてくれた優しいあの人にまた会いたい……。 自分の名前は忘れても、彼のことは一生忘れられない。 そんなベスの願いは叶うこともないまま半年が過ぎたころ、 夢にまで見たジョナサンと再会を果たすが、彼の挨拶に色を失った。 「はじめまして。自己紹介させてもらえないか?」 記憶喪失に陥ったベスはひけめを感じながらも伯爵への想いを募らせますが、半年ぶりに会ったジョナサンは彼女のことをまったく覚えていないうえに、彼は上流階級にふさわしい花嫁を娶ることを求められていて……。悲しい定めに翻弄される娘を劇的に描いたリージェンシー。

伯爵が拾った野の花伯爵が拾った野の花

道端に行き倒れの娘がひとり。 伯爵は捨てる神か、拾う神かーー 目が覚めたら、ヘンリエッタは壮麗な屋敷の寝室で横たわっていた。 下着姿に、髪は乱れ、あげくに泥のにおいを漂わせている。 ふと気づくと、ベッドカーテンの陰に男性が立っていて、 そのたぐいまれな美しさを見て、彼女は我が身を恥じた。 「ここはどこ?」相手の答えに、ヘンリエッタはうろたえた。 そこは彼女が家庭教師として仕える家に隣接する伯爵領だったのだ。 つまり彼は、不道徳な噂が絶えない放蕩伯爵レイフ・セント・アルバン。 側溝に倒れて気を失っていた彼女を拾って、ここまで運んだという。 いったい私の身に何が? このはしたない格好は、まさか伯爵様と……? かたや彼女の疑念を見透かしたレイフは、頭の中で毒づいた。 世慣れたこの僕だ、こんな無垢な村娘になど用はない! 茶色のドレスを何度も繕って着つづけるような、つましい暮らしをしている家庭教師ヒロインが、ひょんなことから放蕩者と噂の絶世の美男子伯爵に拾われて……。身分も経験値もまるで違うふたりの、ときめきとドキドキがほとばしるシンデレラ・リージェンシー!

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