著者 : 早川麻百合
アンバーは突然の元夫バロンからの電話におびえた。世界的スター俳優のバロンが数年前、町を撮影で訪れたとき、たちまち熱い恋におち、結婚した。若さゆえの情熱に駆られるままに。彼が女好きのプレイボーイだと知ったのは、結婚後のことだった。離婚してからはいっさい連絡を取り合わなかった。今日までは。妊娠に気づいたあとひっそりと彼の子を産み育ててきたことをバロンは知るよしもない。彼とかかわるわけにはいかないわ。電話を切ろうとするアンバーに、彼は冷ややかに言った。「なぜ君がぼくを避けるかわかっている」まさか…この子の存在を知っているの?
レストランでウエイトレスをしていたキャリーは、伯爵の称号を持つ精悍な企業家テオ・サンラファエルにひと目で恋をした。だが、つかの間の情熱を分かち合ったあと愛の言葉を口にすると、冷酷にも彼はキャリーを捨ててフランスへ帰国してしまった。1年後、絶望の中で密かに産み育てていた息子ヘンリーを、テオの使者が迎えに現れた(『愛を知らない伯爵』)。かつてクレアはギリシア人の大富豪ザンダー・アナケトスの恋人だった。しかし妊娠の事実を打ち明けようとした晩、ザンダーから別れ話を切りだされ、傷心のクレアは何も告げずに彼の前から姿を消した。4年の歳月が流れたある日、偶然ザンダーと再会したクレアは、息子の存在を知られてしまい、激怒した彼に結婚を迫られるが…(『ふたたびのカリブ海』)。3年もわたしと息子を放っておきながら、なぜ今さら現れたの?別居中の夫アンゴロスとの再会に、ジョージーはうろたえた。電撃結婚ののち、義母にいじめられていたわしたが身ごもると、ほかの男の子供と決めつけ、冷酷に追い払った夫。今になって息子を自分の子と認め、戻ってこいと言うなんて、あまりに身勝手だわ。でも…(『疑われた妻』)。
渡り鳥協会の大会で賑わうホテルの女性オーナー、ラークには気掛かりがあった。友人のカフェ店主エスターがホテルへのコーヒー豆の納入を、突然停止したのだ。その件を話し合う前に、バードウォッチングをしていたラークは、エスターが殺されるのを望遠鏡ごしに目撃してしまう!“野鳥に優しい”有機栽培コーヒーを商っていた彼女はなぜ殺された?鳥づくしのシリーズ第二弾。