著者 : 暖あやこ
幾度めかの命幾度めかの命
ふだんは消防暑で待機して、緊急通報が入ると出動する。事故現場でトリアージを行ったり、余命を肉親に譲る場に臨んだり。国家資格者として憧れの的、聖職者とも呼ばれる保管士ーそれが私のプロフェッション。肉親を前にしても同じ処置を施す自信と誇りを持っている、そんな私の存在理由を覆すような異人が眼の前に現れた…。異色のファンタジー。
さよなら、エンペラーさよなら、エンペラー
首都直下巨大地震のAI予告がひょっこり産み落とした異物。退避を拒んだ住民を前に、皇帝就任を宣言する男が現れたのだ。究極の凡人か、はたまた超人か。その従者となることを申し出た青年は、当初の目的を忘れ、皇帝とともに破滅へのカウントダウンを待つことを選んだ…。その時、もう一人の「陛下」は??タブーに挑む空前のファンタジー。
14歳のバベル14歳のバベル
バベルの塔は崩落する。それが、合図だ!担ぎ込まれた病院の診察台。夢うつつの14歳の脳裏に現れた光景は鮮烈だった。巨大な樽の林立する地下工場。指揮を執る少年王の姿ー。同い歳という彼は囁くのだった。間もなく地上は消滅する。代わって自分たちが人類史をやり直すのだ…。ビール会社のキャンペーンと、黙示録的計画の関わりに気づいた二人の14歳は、秒読みの中で知恵を絞り、そして行動した。
遠く海より来たりし者遠く海より来たりし者
その孤島は古い手記どおりに実在した。不都合な真実を瓦礫の下に埋もれさせたまま。カブトガニの青い血液を用いた新薬開発。そして重大な副作用の発生。その爪痕は、海に囲まれた実験場の破壊だけでは消滅しなかった…。ジレンマとはまそにこのこと。新薬はすでにわが社の主力商品なのだ。社史の不可解な空白の理由を知ったからにはただでは済むまい…。海の力が古い手記を生き残らせたように、海辺の現代生物は人類を進化させるのだろうか…。
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