著者 : 最東対地
ホラー作家・最東対地は、大阪の夜凪を舞台にしたホラー小説を書こうとしていた。夜凪とは大阪の五つある色街のこと。編集者とともに取材に訪れた夜凪のひとつ、椿夜凪で最東は梅丸という遊女の噂を耳にする。梅丸はなぜか複数の夜凪に出没する美貌の女で、血なまぐさい噂がつきまとう。これは小説の素材になりそうだ…。最東は梅丸の謎と夜凪に潜む怪談を集めはじめる。だが、梅丸の話を新たに収集するたびに、不思議な感慨を覚えるのだった。自分は彼女と会ったことがあるのではないかー。怪異に蝕まれていく。作家が。物語が。現実が。気鋭のホラー作家が全存在を賭して描いた、虚実錯乱の恐怖小説最終形態。
「ドロボー」は律儀に呼び鈴を押して訪ねてくる。ドアを開けたら最後、身体の一部をもぎ取られてしまうらしいー。奇怪な都市伝説を聞いた祐子は、幼い姪が最近怯えている、左腕がない「キムラサン」との符合に戦慄する。オカルト雑誌の編集者とともに調査に乗り出した祐子は、封印していた自身の記憶が蠢きだすのを感じる…。底なしの憎悪に読む者を引きずり込む、理不尽かつ容赦ないノンストップ・サスペンス・ホラー!
ネットでよく見る「霊感診断」。まず目を閉じ、深呼吸をする。目を閉じたまま自分の家の前にいるとイメージする。イメージの中で自宅の玄関から中に入り、中の窓をすべて開ける。一旦、玄関にもどる。もう一度中に入り、今度は開けた窓をすべて閉める。玄関にもどる。目を開ける。以上。簡単。ありきたり。こんなので霊感なんてわかるわけない。でも、わたしの家の中には血まみれの死体が何体も転がっていた…。新鋭全開、目眩くノンストップ・ホラー。
「アレを最初に呼ぼうと言い出したのはー」バイト仲間とある島に旅行に行った住谷秋乃は、フリーライターの京本陽介に旅先での恐怖体験を語り始めた。“えじきしょん”-島の住人がそう呼ぶ、人を溶かしにやってくるという恐ろしい怪物の伝承。溶かされた猫の死骸を島で目にしていた秋乃たちは、宿の主人から聞いたその話に興味を持ち、音声検索で調べてみる。すると、スマホの音声は答えた。「えじきしょんを呼び出しました」
ある高校の生徒達の噂。“ドロリンチョ@MW779”このアカウントからのツイートには要注意。晒された人は、頭の中身がどろどろに溶けて噴き出すんだってー。その噂は本当だった!晒された者はメッセージを拡散せよ。失敗した先に待つのはおぞましいペナルティ。生徒達は呪いを回避しようとあがく。そしてたどり着いた驚くべき真相とは!?底なしの闇に引きずり込まれる、読後感の悪さに要注意!でも最後まで読まずにいられない!!
ある山間の寒村に伝わる風習。この村では、死者からくりぬいた顔を地蔵にはめ込んで弔う。くりぬかれた穴には白米を盛り、親族で食べわけるという。この事から、顔を抜かれた死者は“どんぶりさん”と呼ばれたー。スマホにメッセージが届けば、もう逃れられない。“どんぶりさん”があなたの顔をくりぬきにやってくる。脳髄をかき回されるような恐怖を覚える、ノンストップホラー。第23回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作!