著者 : 有明夏夫
一九七八年に第八十回直木賞を受賞した『大浪花諸人往来』シリーズから、秀作を選りすぐって全四巻で復刊している「なにわの源蔵事件張シリーズ」待望の最終巻の登場。今巻は、謎解きの色合いがさらに深く、濃さを増し、知能犯あり(『絵図面盗難事件』)、寄想天外な犯行あり(『脱獄囚を追え』)、偽者あり(『汚名をそそげ』)などの全五編を収録。文明開化期の浪花の町に起きる事件を解決すべく、「海坊主の親方」こと赤岩源蔵が、人力車に飛び乗り、今日も行く。
ジョージ秋山氏初の文庫カバーイラストでも話題の「なにわの源蔵事件帳」シリーズがいよいよ第三弾に突入!旧幕府時代は十手取縄を扱い、明治に入っても捕り物を生きがいとする「海坊主の親方」こと赤岩源蔵が、今日も人力車に乗って浪花の町を走り回る。
旧幕府時代は十手取縄を扱い、明治に入っても捕物を生きがいとする「海坊主の親方」こと赤岩源蔵。その異名は、かつて天誅組を追っていたときに左耳を削ぎ落とされたその特異な容貌と相まって称されるが、一本気で豪快ながら、冴え渡るひらめきは、さながら名探偵そのもの。その名解決ぶりに思わず拍手を送りたくなる!本作は、一九七八年、第八十回直木賞を受賞した『大浪花諸人往来』シリーズから、秀作を選りすぐって復刊する全四巻のうちの第二弾。捕物帳作品の中では異色ともいえる明治開化期の大阪を舞台に、当時の社会状況や文化、風俗などが生き生きと甦る。
捕物帳作品といえば、江戸時代の江戸市中を舞台にしたものが主流の中で、本作は、時代も舞台も異色中の異色として大喝采を浴び、1978年、第八十回直木賞を受賞。81年には、桂枝雀主演によりNHKでテレビドラマ化された作品。ユーモアに溢れ、痛快至極の有明ワールドが完全復刊。
郡山からミス采女を迎え猿沢池で催された采女祭の翌日、モーテルで福島の女と郡山の男の無理心中事件が発生。心中した女性を祭の取材中に目撃していた若きタウン誌記者・陽子は、不審を感じ、女性の足跡を辿るが…。古都の四季に展開する連作ロマン・ミステリー。
新たに出現した銀行の利息が、郵便局をはるかに上まわるというので、大阪の庶民は預金を郵便局から銀行へくら替えさせるのに大わらわ。そんな折、現金を積んだ郵便馬車が強盗に乗っ取られた。2人組の犯人は巡査服に長髪という異形。さて、その正体とは?異形のわけとは?海坊主の親方が活躍する出色捕物帳。
大阪と東京との対抗意識は相撲界にも持ちこまれ、東西合併興行は大さわぎ。上方力士の梅ヶ谷が勝利を収めて湧く大阪の町で、元大関不知火の化粧まわしが3本盗まれる。不知火も上方から東京に出、頂上をきわめた名力士だった。元大関のまわしなどを、誰が何の目的で盗み出したか?海坊主の親分の活躍に期待が集まる。快調大阪捕物帳。
出来たばかりの、堅固を誇る若松町の監獄本署から、強盗犯たちが脱走、その探索に海坊主の親方ことなにわの源蔵もかり出される。脱獄を手助けしたのが尼姿の人物とわかった。教誨師になりすまして、金ノコを渡したのだ。ピンときた源蔵の活躍でやがて意外な潜伏先がわかった!明治の大阪を活写する捕物シリーズ。
大阪中之島の大倉庫で、ある夜奇妙な出来事がおきた。海坊主の親方ことなにわの源蔵が現場にかけつけて確認できた痕跡は三つ。番犬の火傷、鉄砲をうったような音、そして米つぶほどの丸薬であった。それらはなにを物語っているのか?ユニークな風貌で型破りの名探偵が活躍する、明治期の大阪捕物帖シリーズ。