著者 : 望月紀子
帰郷シチ-リアへ帰郷シチ-リアへ
日本の強制収容所で終戦を迎えた9歳のダーチャ・マライーニは、1947年、家族とともにシチーリア島バゲリーアへ帰郷する。祖父母の暮らす壮麗な館。咲き乱れる花々。はるかにつづくオリーブ畑とレモン畑。愛も死も性も、破滅も栄華も、すべてがあらわなこの島で、少女は目覚めてゆく。やがてマライーニは、一族と訣別し、島を出て作家として歩みはじめる。シチーリアを遠ざけて生きた長い年月。だが、数十年の時を隔てて館に足を踏みいれたとき、埋もれていた少女時代の記憶とともに、幾多の祖先の姿までが、あざやかに蘇ってくるのだった。もう一つのイタリア、シチーリアの過去と現在を描き、本国で好評を博した秀抜なノンフィクション・ノヴェル。
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