著者 : 木原毅
オリンピアの春オリンピアの春
「この船で一夜を過ごすんだ。僕と二人きりで」あざけるような黒い瞳を、リザは呆然と見返した。ギリシアの血を引く実業家ラルフ・リンガードーいにしえのころから家同士が敵対する一族の男性。いまラルフは私を誘拐し、汚名を着せて報復しようとしている。彼の母親が亡くなったのは私のせいではないというのに…。ラルフの思惑どおり、リザは婚約者に去られ、醜聞にまみれた。だがリザの父が心労で危篤となり、やむなく二人は結婚する。互いの生活にはいっさい干渉しないという契約のもとに。弱冠19歳にして、リザは“愛されない妻”となったのだー
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