小説むすび | 著者 : 村崎なぎこ

著者 : 村崎なぎこ

オリオンは静かに詠うオリオンは静かに詠う

出版社

小学館

発売日

2025年1月29日 発売

私は勝つ。聴こえない世界で、戦い抜く。 宇都宮のろう学校に通う高校1年生の咲季。重度の難聴である咲季は、他者とのコミュニケーションを避けがちだ。ある日行われた交流会で、聴者だが手話を使いこなす女子高生に出会う。しかし彼女が発したある言葉に、咲季はショックを受ける。落ち込んだままの帰り道、見つけたのは「おひとりさま専用」と書かれたカフェ。店に入った咲季を迎えたのは百人一首の歌を冠したパフェメニューだった。 競技かるたの読手でもあるカフェのオーナー・陽子に誘われるまま競技かるたを体験した咲季は、持ち前の負けん気と抜群の記憶力を発揮。そこに現れたのは交流会で出合った女子高生、カナだった。なぜか咲季に対抗心を燃やすカナも競技かるたに挑み、やがて二人はライバルに。 咲季が大会で戦うためには、読手が読む句を手話通訳してもらう必要がある。ろう学校の担任で手話通訳士の資格も持つ映美の通訳は、正確でタイミングも完璧。しかし映美は初めての大会直後、通訳を降りると言い出した。それにはある過去が起因していて……。 四人が抱える葛藤は計り知れない。しかし、かるたを通じ心を繋ぐことでそれを乗り越えていく。緻密な取材をもとに描き出した、著者渾身の青春小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 競技かるたは金色に輝く未来を見つけてくれる。 ーーかるた永世クイーン・渡辺令恵さん推薦! 構想10年! ろう学校の生徒と共に、手話通訳のために競技かるた大会に出場したーーという、ろう学校教師の新聞インタビュー記事から着想を得て生まれた本作は、著者の綿密な取材によるリアリティと、地元・宇都宮への想いもたっぷりと詰まったものになりました。 オリオン座のようにそれぞれの人生が輝くラストは、読者の心にいつまでも煌めきます。

百年厨房百年厨房

出版社

小学館

発売日

2022年4月20日 発売

世紀を超えて紡ぐおいしい家族ファンタジー 第3回「日本おいしい小説大賞」、郷土愛と貴重なレシピ満載の受賞作! 石庭大輔は宇都宮市大谷町にある元石材商の旧家に暮らす公務員。ある日、石庭家に見知らぬ若い女性が現れた。アヤと名乗るその女性は明治時代の生まれで、亡くなった大輔の祖父のもとで働いていたと言う。 友人の紫は「タイムスリップだ!」と騒ぐが、大輔は信じない。だが、アヤが作った冷やしコーヒーを口にして驚く。祖父が生前「もう一度飲みたい」と語っていた通りの味わいだったのだ。さらに大輔は妹の忘れ形見・ルナを引き取ることになり、アヤ、そしてなぜか紫をも巻き込んで奇妙な同居生活が始まった。 天涯孤独の身で食にも生活にも興味なく生きてきた大輔だったが、アヤの作る百年前の料理に次第に食卓を楽しむ気持ちが湧き上がる。しかし、あるきっかけから新たなタイムスリップが起きてしまい……。 壺飯、じんごろう焼き、源氏飯、チタケうどん、自家製れもんミルク、甘露梅、ベーキャップル、ミルクセーキ、クリームコロッケ、柚煎りなど、おなじみのメニューから現代では失われたレシピも登場。 さまざまな食が時間をこえて絆を紡ぎだす、“おいしい”家族ファンタジー!

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