著者 : 村崎敏郎
ドアは語るドアは語る
あれほど巧妙に組み立てられた計画が、それが最後にドア一つ-錆びた真鍮のノブが付いているペンキ塗りの木製ドア-のために粉砕されようとは。事件後すでに幾月も過ぎ、その間、無数の手がそのノブに触れた。ドアそのものも塗り直してあった。それなのに無心のそのドアが謎を解き、悪魔のような狡猾な殺人犯を破滅させたのだった…。ベル家の裏にある未開懇地を、青年を乗せた葦毛の馬が静かに進んでいく。と、だしぬけに、馬は猛然とあとずさりし何かに怯えている様子。脚もとの下水管には、数日前から行方不明になっていた看護婦セアラの死体が…。アメリカのクリスティーと評されるラインハートが、スイートでロマンチックな雰囲気のなかに神秘的なサスペンスを色濃く漂わせた堂々たる本格探偵小説。
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