著者 : 松尾佑一
これまで恋愛と無縁に生きてきた、遺伝子研究者の柴山と松永。ある日、柴山は女子学生と恋に落ち、それを知った松永は、研究室から失踪した。松永は「愛は遺伝子が決定する」という自らの理論を証明すべく、柴山で人体実験を企む。一方、自らもまた、結ばれる確率が0%と判定された女性に、どうしようもなく心惹かれて…。愛と理論の狭間で苦悶する、純真でせつない“理系”恋愛小説。
モテない24歳の貧乏青年、磯野は公園で出会った紳士にスカウトされ、鳩が恋文を運ぶサービスに関わり始める。次第にやり甲斐を感じる磯野だったが、ある日、伝書鳩が「クラウジウス団」を名乗る集団に捕らえられてしまう。彼らの目的は「この世のあらゆる恋愛を妨害すること」。かくして、鳩を巡るナンセンスな闘いが幕を上げたー。コミカルな語り口で現代男子のリアルを描く。第1回野性時代フロンティア文学賞受賞作。
金沢市内の大学で生物学を教える山田博士に、ひとつの奇跡が起きた。人生初の人間の彼女ができたのである。しかし山田にはすでに学内公認の恋人がいた。それは「枕さん」という生き物で、山田の夢にしばしば少女の姿で現れる。そして絶妙なタイミングで山田に謎ときのヒントを与えてくれる女神のような存在なのだった。でもこの「枕さん」、傍から見れば何の変哲もない、ただの枕で…。妄想理系男子の“遅すぎる”青春小説!
金沢の小さな雑誌社に勤める鈴木沙夜梨、28歳。スズキサヨリという些か矛盾した魚類風味の名を持つ彼女は、会社の先輩の結婚式で山田博士と出会う。ヤマダヒロシは石川大学の生物学専門教員、つまり博士博士なのだった。顔の造作と頭の出来は良いものの、それを打ち消して余りあるコミュ障かつ変人ぶりで「彼女いない歴=年齢」の記録を日々更新する山田だが、沙夜梨の目には彼の度を超した鈍さと真面目さが新鮮に映って…。
コンプレックスとトラウマを抱え、恋愛を諦めていた遺伝子研究者の柴山と部下の松永。しかし柴山が恋に落ちたと知りショックを受けた松永は、ある仮説にとり憑かれ、失踪する。「愛は存在しない。恋人はDNAが決定している」。だが、単独で研究を進める彼の前に一人の女子学生が現れ…現役生物学者が描く、マッドでスウィートな理系ラブエンタメ。