著者 : 松島なお子
保育士のリビーのもとに、その日届いて悲報ーリビーに5歳の愛娘モーガンを預けて旅立った親友夫妻が、不運にも異国で命を落としたというのだ。あろうことか夫妻が法定後見人に指定していたのは、傲慢で軽薄なプレイボーイ、ジェスだった。ラスベガスで最も裕福でハンサムな実業家のジェスを親友夫妻の結婚式でひと目見た瞬間、リビーは彼に夢中になったが、思わせぶりな言動をとるだけで、彼が誘ってくることはなかった。一度も。あんな遊び人にモーガンを託すわけにはいかないわ。リビーはモーガンのそばにいるため、ナニーになることにするが…。
ある日、企画会社で働くジェマが一人きりで仕事をしていると、目の前に突然、目もくらむほど美形で長身の男性が現れた。トリスタン・マルコという名を聞き、彼女は息をのんだ。最高級ホテルでのパーティを予算無制限で依頼してきた謎の大富豪!はるばる欧州のモントヴィア国から打ち合わせにやってきたという。やがて思いがけずクルージングに誘われ、ジェマの心は舞い上がった。悲しい過去のせいで恋には慎重になると心に決めたけれど、彼の魅力に抗えるかどうかはわからない…。恋に惑うジェマは知る由もなかったー彼の本当の名は、モントヴィア皇太子トリスタンで、高貴な生まれの女性との結婚を義務づけられている身であることを。
噂の実業家ドミニクの豪邸の前で、アンドレアは不安に身を震わせた。彼は世間から“守銭奴の億万長者”とのあらぬ汚名を着せられ、自宅で盛大なチャリティパーティを開いて悪評を払拭したいという。アンドレアは目の前に立つ並外れたオーラを放つ男性に圧倒された。彼はすでに3人ものパーティプランナーをくびにしたかなりの難物だ。それでもドミニクのために一生懸命プランを考え提案した結果、無事に採用が決まり、アンドレアは胸をなでおろした。だが、やがて彼に惹かれ始めた彼女に難題が降りかかる。重要な契約を控え、社会的信用のため“婚約中”とうそぶいた彼が、アンドレアに偽りの婚約者を演じるよう命じたのだ!
アリアドネは海を臨むホテルのバルコニーに佇み、悲嘆に暮れていた。両親の死後、幼い私を引き取って23歳の今まで育ててくれたおじ夫妻。二人の愛情を疑ったことなど一度もなかった。それなのに…おじの薦めで旅行に出かける直前、自分が見知らぬギリシア人富豪と結婚する運命だと知らされたのだ。花嫁をお金で買うなんて、どんな気味の悪い人なのだろう?おじの残酷な仕打ち以上に、未来の花婿との対面の瞬間に彼女は怯えた。滞在先のホテルにアリアドネを迎えに来たセバスチャン・ニコストは、思いもよらないことに、若く精悍で端整な顔立ちの男性だった。だが、その黒い瞳は氷のように冷たく…?!
役員秘書のレイチェルは会社主催のチャリティパーティで、招待客リストに載っていない、魅力的な男性レオに声をかけられた。何事も計画どおりに進めたいタイプのレイチェルは一瞬とまどうが、どうやら彼は欠席者に頼まれ、断れずにやってきたらしいとわかる。話をするうち、レオの人柄やユーモアに惹かれ、「君をもっと知りたい」という甘い言葉に誘われるまま、気づけば自宅で彼と熱い夜を過ごしていた。ああ、私の今夜の計画に、こんなことは含まれていなかったのに…。一夜限りの関係と割り切って翌朝には別れたふたりだったが、7週間後、妊娠検査薬を見つめ、立ちすくむレイチェルの姿があった。
“あなたは彼と目がそっくりだわ”亡き母が遺した最期の言葉が、ロクシーの人生を変えようとしていた。遺品の中から、大富豪の恋人が若き日の母へ宛てた手紙が見つかり、彼こそがロクシーの本当の父親らしいとわかったのだ。幼い娘を育てるしがないウエイトレスの彼女にとって、青天の霹靂だった。私がその人の子供だと認められれば、娘にいい暮らしをさせられるわ。希望を胸にマイクという弁護士を訪ね、事情を話したところ、彼は疑いの目を向けてくるばかりか、証拠が不十分だとつっぱねた。失意のあまりその場を飛び出したロクシーだったが、その夜、どういうわけかマイクが彼女の職場に現れ、不敵な笑みを浮かべながら、仕事を引き受けたいと言い出した!シンデレラ物を得意とするイマージュ期待の作家の最新作。エリート一族出身のマイクと、苦労人のロクシー。正反対のふたりが織りなす恋模様は、やがて先の読めない展開へと突入して…。