著者 : 柏原兵三
兎の結末・独身者の憂鬱兎の結末・独身者の憂鬱
「兎の結末」は、中学二年生の“僕”と高校受験を控えた兄が、兎の飼育をめぐって社会の現実に直面したり、自分の才能を生かす道は何かと煩悶したりする青春小説。著者が高校一年生のときに書いた短篇小説がベースになっており、いわば芥川賞作家・柏原兵三の“幻のデビュー作”でもある。これに、著者の自伝的作品としては最も幼い時代を描いた「幼年時代」、西ドイツに留学した経験から書かれた「バラトン湖」「カールスバートにて」を加えて刊行された『兎の結末』と、大学院時代の奇妙な留守番生活を綴った『独身者の憂鬱』を一冊にまとめた、ファン必読の作品集。
長い道・同級会長い道・同級会
太平洋戦争末期、東京から富山の漁村に疎開した小学5年生の杉村潔。その潔に対して屈折した感情をいだく地元の少年、竹下進。進は潔に表面上は友好的に接しながらも、裏で陰湿な悪事を繰り返し、潔はそれに戸惑う。都会からの疎開児への地元っ子の愛憎を中心に、戦争の影にゆれる海辺の村で繰り広げられる人間模様を描いた自伝的作品。のちに「少年時代」として漫画化、映画化もされた。また「長い道」の後日譚「同級会」と、特別に映画「少年時代」の脚本を手掛けた山田太一氏の解説(1989年執筆)も併録。
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