著者 : 栗原百代
病院で栄養士助手として働くシアドシアは、屋根裏部屋で愛猫と暮らしている。クリスマスも、唯一の身寄りである大おばと質素に祝うしかない。ある日、憂鬱な雑用をきっかけにハンサムなベンディンク教授と知り合った。彼は病院の重役で雲の上の人だ。かなわぬ恋と知りつつ、いつしか彼女は教授と過ごすイブを夢見ていた…(『聖夜の訪問者』)。クリスマスを前に、息子ジェイムズを連れて生家に戻ってきたベス。そこで思いがけず、かつて憧れていたカールと再会する。束の間の愛を分かち合ったあと、彼は私を捨て、異国の令嬢と婚約したはずなのに…なんて皮肉な巡り合わせ。彼女は運命の悪戯を呪い、心から神に祈った。ジェイムズが、彼の子だと悟られませんように(『恋人はツリーとともに』)。寒風の吹きつけるなか、マリアンは赤子を抱え、やっとのことで亡き夫の生まれ故郷にたどり着いた。ここへ来たのは、臨終の際に夫と交わした、この子を夫の養父ヘイウッドに託すという約束を果たすため。だが、ヘイウッドには冷酷な男という悪い噂があった。マリアンは心配になり、家政婦として雇ってほしいと申し出るが…(『旅路の果てに』)。世界に愛され惜しまれる三作家が遺した、英国のクリスマスを綴ったロマンス短篇集。
ニューメキシコ州南部に口を開ける世界最大の洞窟群カールズバッド。その調査隊に同行した同僚が中で重症を負った。一刻を争う非常事態に、アンナは救助のために、閉所恐怖症を抑えて闇へと降り立つが、救助作業中に不自然な落盤が起きる。救助隊員の中に殺人犯が潜んでいる!底知れぬ暗黒の大洞窟の迷路に入り込んだパークレンジャー、アンナに最大の危機が迫る!サラ・パレツキー絶賛のサスペンスに富んだアウトドア・ミステリ最新作。
大西洋の波が岸辺を洗うカンバーランド島の国定海岸公園。絶滅危惧種アカウミガメの産卵期に、大麻栽培防止の監視用軽飛行機が墜落。パイロットが死亡。ところが操縦席からもう一つ死体が発見された。しかも彼は搭乗予定の人間ではなかった!手つかずの自然を残す島で、それを隠れ蓑にした犯罪のにおいをかぎつけたアンナ。一方、彼女の恋人のFBI捜査官フレデリックは、アンナの姉を脅迫する謎の犯人を追うべくニューヨークへ向かったが…。サラ・パレツキー絶賛のアウトドア・ミステリ・シリーズ第四弾。