著者 : 根本聡一郎
「ミスターイーツ」で配達員をしているアオイは、「Erika.M」というユーザーから大量の注文を受け、奇妙なガレージハウスに辿り着いた。中まで運んでほしいとの依頼に応え、お礼の紅茶を飲んだ途端、アオイは意識を失う。目覚めるとそこには全く面識のない5人の男女が。直後、室内のモニターに道化の仮面をつけた女性が現れ、「特殊詐欺で1億円稼ぐまでこの部屋からは脱出できない」と告げられる。困惑するアオイたちだったが、周到に用意されたシナリオを基に「掛け子」としてオレオレ詐欺・キャッシュカードすり替え詐欺など次々と成功させていく。脱出まであと僅かと思われた矢先、「受け子・出し子」の動きが警察によって捕捉され、絶体絶命の危機に陥る。果たしてアオイたちはこの家から、そして捜査の手から逃れられるかー。
「宇多莉町には何もない」。住民が揃ってそう口にする田舎町で生まれ育った青砥佑太は、十四歳の夏、裏山で巨大な宇宙船の墜落を目撃する。十年後、宇宙船に乗っていた異星人は地球社会へと徐々に溶け込み、佑太は近隣の大都市・舞楼市に移住して無気力な生活を送っていたが、彼らの関係性は「あるアイドルの握手会」から劇的に変わっていく。過去と未来、共生と排斥、都市と辺境、世界と自己ー人が自身と異なる存在とどう向き合うかを描いた物語。
大学生の陽輝の下に、ずっと連絡のとれなくなっていた兄から、突然荷物が届いた。中身は、見慣れない眼鏡型のデバイスとタブレット。説明によると、それは他人の検索履歴を見ることができるAR機器「ウィザードグラス」だった。なぜこんなものが存在するのか、そしてなぜ自分の下に送られてきたのか。陽輝は次第に、ウィザードグラスをめぐる事件へと巻き込まれていくー“1億総監視社会”の恐怖と希望を描き切った意欲作!
「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい。そのための手段は問わない」大手広告代理店・電央堂の就職試験を勝ちあがった大学生8名。彼らに課された最終選考の課題は、宣伝によって仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを争うゲームだった。勝敗の行方やいかに、そしてこの最終選考の真の目的とは?電子書籍で話題の問題作を全面改稿して文庫化!