著者 : 桑原水菜
昭和三十四年。九年前に大学へ進学したはずの群青は、消息不明になっていた。 ありあけ石鹸は倒産の危機から身売りし、社長だった赤城はただの社員に。 親会社となった大手油脂会社からやってきた経営陣と、旧ありあけ石鹸時代からの社員たちの分断と反目に赤城が苦悩するなか、群青が姿を現した。 だがそれは、赤城を目の敵とする出向組のトップ黒田専務が連れてきた「技術顧問」としてで……。 戦後の混沌は終わり、高度経済成長期に突入した時代を駆け抜けた男たちの絆と希望の物語!
敗戦の焦土から立ち上がれ。混沌の時代を生き抜いた男たちの、反骨と絆の物語。 太平洋戦争に敗れ、大陸からの引揚船で、中学生の阪上群青は母とはぐれ、直後に何かが海に落下する音を聞いた。 その場に居合わせたのは、赤城壮一郎という男。さらに謎の男が現れ、「赤城が君の母親を突き落とした」と告げられる。 母の失踪に赤城が関係しているのか。疑惑がぬぐえないまま、行く当てのない群青は、赤城と共に焼野原を生きることに。 戦後の混乱期、上野の闇市で商売をするうちに、人々が衣食の次に必要なのは「清潔」だと気づき、二人は仲間たちと石鹸会社を立ち上げた。 ともに困難に立ち向かう日々の中、群青にとって赤城がかけがえのない存在となっていく。 だがそんな時、引揚船の男が再び現れ、衝撃の事実を群青に伝えた。 果たして二人の行きつく未来は……。
天才発掘師・西原無量が所属する亀石発掘派遣事務所の所長の下に「庭から遺物が出た」と相談の連絡が入った。どうやら“出ては困るもの”らしく無量は高知へ向かうことに。銅印であることを確認すると、なんとそこには“天皇御璽”と施されていた!さらに刀を持った不気味な男に「御璽に関わるな」と襲われて!?本物でも贋物でも許されざる1つの印から因縁の渦に巻き込まれていくー。文庫書き下ろし、シリーズ第10弾!
人生の「酔」を凝縮した日本酒短編小説集。 山梨出身ワイン好き女子VS新潟出身日本酒好き男子の川中島合戦開幕!?(桑原水菜) 日本酒好きな「桜の神様」(スマホ在住)の我が儘に振り回される女子の大奮闘?(前田珠子) 「俺が好みそうな酒を持ってこい!」という日本酒好きな父の無茶振りに娘は…(響野夏菜) 近所の居酒屋で酔いつぶれた謎の女を拾う羽目になった男は…(山本瑤) 高校時代の女友達と飲んでいたらあれよあれよといううちに良からぬ扉が開いて?(丸木文華) あだ名は『鋼鉄女子』。大学の事務室で働くカタブツ女子が出逢った国文科教授は無類の酒好きで!?(相川真) この世の酸いも甘い辛いも、すべて醸せばこんなに美味しい。飲める人も飲まない人もあったまる、日本酒短編小説全6編。
多くの縄文遺跡がある長野県諏訪。天才発掘師・無量はその中の1つに派遣されるが、過去に祖父が起こした遺物捏造事件の関係者・理恵と再会してしまう。さらに不気味な文様のついた土器片を発掘するが、文様を見た理恵は“呪いのカエルだ”と激しく動揺し…!?一方、縄文フェスの準備を手伝っていた萌絵は諏訪大社で、古代神を祀る奇妙な新興宗教の一団と遭遇し、不穏なものを感じていたー。話題沸騰、遺跡ミステリ第9弾!
かつて日本海軍の空母だった豪華客船が、横浜を出港する。乗客の一人・入江は、機密情報“カサンドラ”を持ち出したスパイを突きとめ、その流出を阻止するという特務を帯びていた。船内で入江は陸軍中野学校の同期の弟・道夫と再会するが、その夜殺人事件が発生。被害者はマーク中の物理学者・波照間だった。そして第2、第3の殺人がー。誰が敵で誰が味方か。戦後8年、いまだ癒えぬ戦争の傷を抱えた男たちの、壮絶な諜報戦!
新居建築予定の、東京郊外の住宅地で行われる発掘調査。幼稚園児も参加できる、採石場での化石発掘会。戦国時代の山城・八王子城は、発掘現場に幽霊が出るとの噂で持ちきりで!?実はあなたのすぐ側で、数多くの「発掘」が行われているー天才発掘師・無量が身近でささやかな「宝物」を探しだす、心温まる4編を収録。無量と幼なじみ・忍の幼少時代や、萌絵たち亀石発掘派遣事務所の日常も描かれる、珠玉の短編集!
天才発掘師・西原無量は鷹島沖の海底遺跡で黄金の剣を発見するが、何者かに奪われてしまう。同じ調査チームのダイバー・黒木と共に犯人捜しをはじめるが、犯人とおぼしき男は死亡。その背後には、国際窃盗団コルドとその幹部バロン・モールの暗躍があるらしい。この剣は高麗の「忠烈王の剣」か、あるいは黒木家に伝わる家宝「アキバツの剣」か?歴史に秘められた真実がまた一つ明らかになる!文庫書き下ろし、シリーズ第7弾!
玄界灘に面し元寇の島として知られる、長崎県鷹島。その南岸にある海底遺跡の発掘チームに派遣された、天才発掘師・西原無量。蒙古襲来の際に沈んだ、元寇船の調査が目的だ。昔なじみの腐れ縁コンビ・広大や、水中発掘の第一人者・司波、一匹狼のトレジャーハンター・黒木などチームは精鋭揃いで、沈船からは次々と遺物が発掘される。そんな中、無量は美しい黄金の短剣と大量の銅銭を発見し皆を驚かせる。だがそれは、決して目覚めさせてはいけない遺物だった──。 今度の舞台は九州北部! 文庫書き下ろし、遺跡発掘ミステリ第6弾! 序章 第一章 鷹島海底遺跡 第二章 チュンニョルワンの剣 第三章 トレジャーハンターの死 第四章 黒木仁 第五章 贋物証明 第六章 heavenly blue
岩手の祖波神社跡で「三本指の右手」に続き「金の薬指」を掘り当てた天才発掘師・西原無量。鬼の墓との言い伝えもあるこの場所には、一体何が秘められているのか。一方「悪路王の首」を祀る鬼頭家では、二代にわたり当主が変死していた。真相を探る忍だが、そこには鬼頭家の息子・陽司と、謎の韓国人・ペクが深く関わっていて……!? 震災後の東北・岩手の地に隠された、壮大な歴史の秘密とは。全てが明かされるシリーズ第5弾、文庫書き下ろし!
若き天才発掘師・無量が陸前高田の神社跡で掘り当てた、指が三本しかない右手の骨。地元では「鬼の手では」と噂される。一方、平泉にいた忍は出土品の盗難に遭遇。そこには“悪路王参上”の文字が残されていて──。
昭和28年、夏。“光の女神”の名を冠した客船が改装後初の航海に出る。大臣の護衛として乗船した入江秀作は、周囲に目を光らせていた。-そう、入江の真の任務は「“カサンドラ”の流出を防ぐ」こと。“カサンドラ”とはある機密情報を示す暗号だが、詳細は不明。入江は機密を持ち出した者を抹殺すべく、船に乗ったのだが…。
天才・西原無量が派遣された島原のキリシタン遺跡で、天正遣欧少年使節ゆかりとみられる黄金の十字架が出土。しかしそれは仕込まれた遺物だった。捏造工作の裏に隠された陰謀とは!? シリーズ第3弾!
天才と呼ばれる若き発掘師・西原無量が派遣されたのは、島根県出雲市にあるいわくつきの神域。無量が青銅製の髑髏を掘り当てた途端、地元名家の跡継ぎが発掘現場で遺体で見つかり……。シリーズ第2弾!
永倉萌絵が勤める亀石発掘派遣事務所には、絶対的エースがいる。世紀の発見を繰り返し、天才発掘師と名高い西原無量、その人だ。奈良の古墳から出土した宝玉をめぐり、無量たちの周囲に暗い影が迫る!