著者 : 梅原稜子
潮呼びの群火潮呼びの群火
織井沢子は、夫の昔の恋人で画家の兵頭珠江の描いた「潮を抱く家」に夫との秘密を知る。沢子もまた誰にも知られず燃え上がった過去の恋の苦しみを忘れられずにいた。遭難してさまよう七人の霊が次の人を海に引き込むという故郷に伝わる「七人みさき」の言い伝え、義母から明かされる戦争ゆえの結婚の悲劇、苛酷なシベリア抑留の記憶…。さらに思いもかけぬ珠江の真実が沢子の胸を突く。-東京と四国を舞台に、親子夫婦の不思議な縁と、切ないまでの人間の生き様を描く長編小説。
海の回廊海の回廊
二十三年前、五月御霊会の日に事故死した父。その目に見えない力が、大きな潮流のように姉妹の運命を動かしている。離れて育った芭江と杉子の、二人の男性をめぐり交錯する恋愛。故郷に語り継がれた「かわうそ伝説」の秘密。-父祖の霊魂が生きる四国の村と七十年代の東京を舞台に、濃密な筆致で織りなす、長編小説。
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